これまで20年近い月日をオリンピックとともに過ごしてきた上村愛子選手。バンクーバーの後は引退という言葉がでてくると僕は思っていた。だが、彼女は2014年のソチの舞台に立ち、見事4位に入賞した。
オリンピック――それはアスリートにとって特別なもの。しかし彼女にとっては“魔物”だった。ソチ直前、愛子さんは静かにこう振り返った。
「バンクーバーの後、『引退します!』と素直に言えなかったのは、メダルを獲ってないこともありましたが、何かやり残しているのではないかということを心の中で感じていたからなんです」
上村選手ほどストイックな選手はいない。だが、五輪の舞台では、その真剣さが彼女の本来の力を遮ってしまっていたように感じてならない。
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photograph by Naoya Sanuki/JMPA