欧州屈指の名門クラブが、何故ここまで破格の待遇をしたのか。
長きに渡る交渉の末、獲得に成功したガッリアーニGMが、
移籍の舞台裏と27歳のミッドフィルダーが持つ真の魅力を語った。
2013年も終わろうとしていた12月29日、ACミランのアドリアーノ・ガッリアーニは、リオの街でバカンスを過ごしていた。
日本では副会長やCEOという肩書きで知られるガッリアーニは、ミランの移籍市場を27年に渡って取り仕切ってきたGMでもある。かつて一時代を築いたユベントスGMのルチアーノ・モッジと鎬を削り、選手を見極める眼では唯一モッジに匹敵すると言われる。
彼がCSKAモスクワから獲得した本田圭佑について尋ねると、前日にマラカナンスタジアムで行なわれたジーコ主催のチャリティマッチに出場していた中田英寿を引き合いに出しながら、静かな口調でこう語りだした。
巷間言われている“マーケティング狙い”ではない!
「おそらく日本のサッカー史上最も名を馳せた選手は中田だろう。あの'98年以降に彼が見せた活躍は私の記憶にも確かに残されている。私は何も中田と本田の技術レベルを比較しようというのではない。ただ言えるのは、今回ミランに入る本田は、選手としての完成度で15年前の中田を遥かに凌ぐということだ。もちろん、当時の中田がまだ21歳だったのに対し、今の本田は27歳。さらに、日本から直にイタリアへ来た中田とは違って、本田は既に欧州での経験を十分に積んでいる。ロシアのトップレベルのチームでスタメンを張り続け、CLでの実績もある。イタリア到着時における両者の完成度が異なるのは当然だ。
その上で私が言っておきたいのは、本田の獲得は、巷間言われるような“マーケティング狙い”などでは決してないということだ。我々の意図はあくまでも戦力の増強であり、彼の起用法についても将来を見越してプログラムを立てている。間違いなく本田は、穿った見方をする者たちを、ピッチ上で見せるプレーで沈黙させるだろう」
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