負けず嫌いの2人は、時に衝突しながら互いを高め合ってきた。
北京から4年、結成から8年。ロンドンへの切符をかけて戦う
“スエマエ”に、激動の軌跡と五輪への決意を聞いた。
北京から4年、結成から8年。ロンドンへの切符をかけて戦う
“スエマエ”に、激動の軌跡と五輪への決意を聞いた。
「前田っ、ラケット持ってきて」
張りのある声が響くと、
「はい」
短く答えて、ロッカーに駆けていく。
「ペアを組んだ当初から、『前田』『先輩』という呼び方はかわらないですね」
と、命じられた後輩は笑う。
1月末、バドミントンの末綱聡子と前田美順は、所属するルネサスセミコンダクタ九州・山口の体育館がある熊本市内にいた。
この冬も、2人は厳しいスケジュールをこなしてきた。昨年11月中旬に日本を飛び立つと、香港、上海、マカオを転戦し、12月初旬に帰国。12月上旬から中旬は全日本選手権や日本リーグの試合に出場。下旬にはインドオープンに出場し、帰国するやいなや元旦から16日までは韓国、マレーシアの大会に出場するため海外へ。取材に応じてくれたのは、その後参加した鹿児島県指宿市での合宿から、熊本に戻って2日目だった。翌日からは東京での合宿が控え、さらに合宿後はただちにユーバー杯アジア予選会の行なわれるマカオへと向かう。
北京五輪のダブルスで、わずかに手が届かなかったメダルのために。
大変ですね、と尋ねると、末綱はうなずきつつ、こう語った。
「体調管理、気持ちの面はたしかに大変ですが、何年も経験してきたので、過ごし方はある程度分かっています。神経質になりすぎてご飯が全然食べられない、眠れないとなったら試合に差し支えるし、そこは図太くならないといけない。みんな同じ条件だし、厳しい状況の中でいかにコンディションを整えるかも実力ですしね」
かたや前田は、このように答えた。
「何年も続けてきて慣れてはいるんですけど、疲労は半端じゃないです。体だけじゃなくて、気持ちまで疲れる」
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photograph by Yoshiko Kojima