#760
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<モスクワ直撃取材> 本田圭佑 「革命児の美学」 ~ついに明かした“W杯を語らない理由”~

2010/08/26
W杯で一躍ヒーローとなった男は、周囲の喧騒をよそに
その活躍を振り返ることなく、ロシアへ発った。
なぜ、彼は未だすべてを封印しているのか。
8月上旬、巨大な煙に包まれた猛暑のモスクワで、
本田圭佑の大いなる“野望”と独自の“哲学”に迫った。

 南アフリカW杯後、メディアから本田圭佑の「声」が消えた。

 TVをつけても、新聞や雑誌をめくっても、本田がインタビューに答えている姿が一切見つけられないのだ。

 W杯で活躍できず、戦犯扱いされていたのなら、メディアを避けても不思議ではない。だが、本田は日本のベスト16進出に貢献したエースなのだ。にもかかわらず、「声」を残さず、そのままロシアへ旅立った。

 なぜ、本田圭佑は口を閉ざしたのか?

 8月4日、モスクワ。街は巨大な煙に包まれていた。

 連日、35度を超える異例の猛暑で、近郊の森林の泥炭層で火災が発生し、約13万ヘクタールもの土地が焼け野原と化したからだ。それでもCSKAの練習は行なわれ、うっすらと白く染まる空気の中に、本田の姿もあった。

 練習が終わり、汗だくになっている本田に声をかけ、いきなり本題をぶつけた。

「インタビューを受けないのは、ひょっとしたらW杯のことを話したくないから?」

 本田は歩みを止めることなく、下を向きながら答えた。

「それはありますね」

 本田はクラブハウスで着替えを済ませ、ブラックのJEEPに乗って敷地から出てきた。

 レコーダーを手に、車の横に立つ。

 運転席のウィンドウが下がった。

――9月4日にパラグアイ戦が行なわれる。W杯の再戦になるが特別な思いは?

「W杯では結果的に負けているんでね。どう自分たちが仕掛けていけるかを示すなかで、勝ちにこだわりたい」

――W杯では、勝つよりも、負けないやり方を取ったということ?

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photograph by Tamon Matsuzono

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