“意外”とも取れる決断だった。シーズン途中、オランダの小さな街から次のステップに選んだのは、聞き慣れないロシアのクラブ。
だが今回の移籍には、未来を見据えた確固たるビジョンがあった。
だが今回の移籍には、未来を見据えた確固たるビジョンがあった。
「CSKA(チェスカ)の選手は英語をそんなに話せないからか、まだみんな心を開いてない感じですね。ロシアを初めてプレーする外国に選んでいたら、すごく大変だったかもしれない。でも、日本からオランダに行ってすぐのときより、雰囲気や環境への慣れは確実に早い。オランダで培ったものを見せるときが来たんじゃないかなと思います」
昨年の大晦日、本田圭佑は2年間在籍したVVVフェンローから、CSKAモスクワに移籍した。
1911年創設のCSKAモスクワは、リーグ制覇10回を誇るロシアの名門。陸軍中央スポーツクラブが前身で、そのロシア語の頭文字が今もクラブ名に残る。2003年頃から石油や銀行など大手企業のスポンサードを受け、国内外から有力選手を獲得。選手層の厚さはロシア屈指で、'05年には初の国際タイトル、UEFAカップを制している。
昨年は成績不振を理由に監督交代が相次いだ。新任のジーコが更迭され、後を継いだファンデ・ラモスはわずか1カ月でクラブを去った。だが、ロシア人監督レオニド・スルツキーの就任をきっかけに本来の力を取り戻すと、チャンピオンズリーグ(CL)ではロシア勢で唯一、決勝トーナメント進出を果たした。
本田に移籍を決断させた“克服すべき課題”とは。
これまでクラブに惜しみない投資をしてきたエフゲニ・ギネル会長は、本田の獲得にも大枚を叩いた。その額、900万ユーロ(約12億円)。本田に大きな期待を寄せている。
2月の欧州CLでのセビージャ戦、3月の国内リーグ開幕を控える本田だが、すでに練習試合やプレ・シーズンマッチでは先発しており、得点やアシストも決めている
「ホンダはトップ下でゲームを作るだけじゃなく、ゴールも決めることができる“ビューティフル”なプレーヤーだ。CSKAの強化部門は半年以上も前から注目していた」
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photograph by Daisuke Nakashima