青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
米ツアーでの石川遼の一挙手一投足を
日本からつぶさに観察する方法とは?
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKeigo Amemiya
posted2011/03/04 10:30
全米ツアーの大会プレスルームにて。巨大なスクリーンにはライブスコアが表示され、手元のノートPCを使って個々のプレーをあらゆる角度から分析できるデータを閲覧できる
日本では石川遼も池田勇太も一挙手一投足を注目され、テレビ中継を見ていれば1ラウンドのすべてのショットがつぶさに分かる。しかし、まだまだ下っ端扱いの米ツアーとなると、そうもいかない。
優勝争いにでも絡まない限り米国での中継に登場することはないし、日本の放送でも独自カメラによる映像がダイジェストにまとめて流れることが大半だ。ゴルフファンが米ツアーでの彼らのプレーを追いかけるのもなかなか大変なのだ。
いくら交通手段が発達してアメリカにも気軽に出かけられる時代になったとはいえ、東京に住む人が千葉の試合に出かけるのと同じような気軽さでゴルフ観戦には行けない。ただし、交通網以上にハイスピードで進化する通信ネットワークを生かせば、米ツアーの試合を日本ツアー以上の臨場感で味わうことも実は可能なのである。
そのためのツールになるのが「ShotLink」と呼ばれるシステムだ。
選手に関するあらゆるデータを瞬時に解析する「ShotLink」。
米ツアーの会場を歩いていると、コース内で怪しげなカメラをのぞきこんでいる人を見つけることができる。フェアウエー脇のラフ、グリーン脇の特設スタンド、各ホールに必ず彼らはいる。
この人たちこそが「ShotLink」のスタッフであり、レーザーを使った測量機器でボールとピンの距離を測っているのである。加えて、各組にはGPS機能のついた計測器をもったスタッフが同伴していて、細かな位置情報を確認し、選手がどこで何打目を打とうとしているのか、すぐに把握できるようになっている。
メディアセンターにある端末を利用すれば、実に細かなデータがたちどころに分かってしまう。
たとえば、石川のティーショットは左右どちらに外れることが多いのか。25~50ヤードのアプローチを平均で何mに寄せているのか。それはツアーで何番目の数字なのか。グリーンを狙うショットに関しては150~175ヤード、175~200ヤードなど25ヤード刻みでデータが弾き出される。グリーン上も同様で、この距離のパットを沈める可能性は何%かというのが事細かに示されるのである。
それらのデータはメディアのためだけのものでなく、グリーンサイドの電光掲示板にもピックアップして表示され、ギャラリーの観戦ツールとしても活用されている。