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楽天で過酷なポジション争いが勃発!
星野監督が目論む最強外野陣とは?
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/02/28 10:30
野村・楽天に移籍後、外野の守備技術において急成長した鉄平。当初は中堅手だったが、昨季に右翼手へとコンバートされたばかりだったが……
打線ではメジャー帰りの松井稼頭央と岩村明憲を獲得し厚みを持たせ、守護神候補としてメジャーでの実績がある金炳賢と安定感のあるルーキー・美馬学を競わせる。
星野仙一が楽天の監督に就任して着手したのは、これまで課題とされてきた要素の補強だった。
だが、指揮官の掲げる、「効果的に得点を重ね僅差を守り抜く機動力野球」を絶対的なものとするためには、もうひとつ補完させなければならないものがある。
それは、外野陣の形成だ。
春季キャンプスタート直後、いきなり大胆な改革に打って出た。昨年にライトを守っていた鉄平をレフトにコンバートしたことだ。
理由は、強肩の牧田明久をライトで起用したいという思惑が首脳陣にあったためだ。当初こそ、「打球の落下地点が予想したところと大きくかけ離れている」「自分の守備範囲だと思ったらセンターの正面だった」と、不慣れさを口にしていた鉄平だったが、昨年までセンターとライトを守っていた選手である。フライやゴロの捕球といった基本練習を反復したことで、キャンプ終盤にはその不安も解消されたといっていいだろう。
「ファインプレーでもそう見せないように捕球できる」
オリックス時代に田口壮、イチローに技術指導を施し、球界随一と呼ばれた外野陣形成に大きく貢献した外野守備走塁コーチの本西厚博の、「一番の収穫は鉄平がレフトになったことですよ」という自信に満ちたひと言からも、レフト・鉄平は盤石だと窺える。
本西は、何も難しい技術指導をしているわけではない。むしろ単純なくらいだ。
「当たり前のプレーを当たり前のようにする。基本さえできていれば、ファインプレーでもそう見せないよう捕球できるものなんです」
この言葉は、楽天外野陣の共通認識として浸透している。昨年、センターのレギュラーポジションを掴み、今年も機動力野球の急先鋒として期待されている聖澤諒も、守備についてこのように謙虚なコメントを残していた。
「大事にしたいのは、当たり前のことを当たり前にすること。ピッチャーが打ち取ったと思った打球は確実にアウトにする。チームに迷惑をかけないために、キャンプでは捕球の基本練習をしっかりとやりました」