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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「この状況は非常に危険」今年のプロ野球“死球が多すぎる”問題…元スコアラーが分析する「意外なワケ」とは? いま思い出す「野村克也の教え」
text by

酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph bySankei Shimbun
posted2026/10/14 11:00
今季、両リーグ最多の20個の死球を受けた阪神の森下翔太。なぜ今季はこれほど死球の話題が多かったのだろうか?
胸よりも高い箇所への死球はさまざまな危険をともなう。にも関わらず、今季の死球は「95%以上が胸から上に当たっている」と志田が指摘するような、憂慮すべき事態に陥っている。
今季、被死球数が多い上位3球団の阪神(67個)、DeNA(65個)、日本ハム(63個)はいずれも強打者がそろうチームである。厳しく攻めなければ抑えられない。その結果、「死球禍」に拍車がかかったわけだが、それにしても、「胸から上」への死球が多いのはなぜだろう。
元スコアラーが指摘する「指示の曖昧さ」
志田はやはり「あくまで私の仮説です」と強調しつつ、自らの現役9年間、スコアラー歴15年の経験に基づいて、警鐘を鳴らす。
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「いまは『厳しくいけ』という指示そのものが曖昧になっているような気がします。むかしは『足を厳しくいけ』とか『腰を引かせろ』とか、丁寧なバッテリーのコミュニケーションがありました。いまもちゃんとコミュニケーションを取っていると思うのですが、もしかすると、体の部位の条件をつけていないのかもしれません。
部位の条件をつけていたら、プロのピッチャーがこんな上にばかり投げないと思います。たとえば、『足元めがけて投げろ』と指示されれば、プロのピッチャーならある程度、コントロールはできますから下には投げられます。いまの野球はブラッシュボールに近いですよね。この状況は非常に危険だと思っています」
志田が指摘する、「体の部位」はつまり、野村の言う「足払い、腰払い、手払い」である。内角攻めが“マナー”を失ってしまえば、歯止めが利かなくなってしまう――。
たとえば今季、球団史上初のセ・リーグ連覇を果たした阪神の歩みは、「死球禍」との戦いでもあった。とりわけ、4月に近本が骨折で離脱するとチームの停滞を招き、大きな痛手になった。今季、死球が増えた要因を分析してきた志田はこう頷く。
「藤川監督が主張したいことも、たしかにわかるんです」
そう言って、シーズン序盤、ナインが死球を食らうたびに激高していた藤川球児監督の胸中を推し量った。
今年の猛虎打線を襲った死球をこまかく分析していくと、自己最多の35本塁打を放ちながら、球団シーズン歴代最多の20死球を食らった森下翔太が、いかに深刻な「死球禍」と戦っていたかがよくわかる。
<次回へつづく>

