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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「この状況は非常に危険」今年のプロ野球“死球が多すぎる”問題…元スコアラーが分析する「意外なワケ」とは? いま思い出す「野村克也の教え」
text by

酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph bySankei Shimbun
posted2026/10/14 11:00
今季、両リーグ最多の20個の死球を受けた阪神の森下翔太。なぜ今季はこれほど死球の話題が多かったのだろうか?
その分布が示すものはつまり……志田は険しい表情でつづける。
「変化球が抜けて当てた球も入っていますが、右投手対右打者をみたときに、ほぼ全球が胸から上に当たっているんです。足元に当たったのは数球しかありません」
これは左投手対左打者などでも同じ傾向だった。そして、このデータに触れたとき、2002年にドラフト8巡目でヤクルトに入団した志田は現役時の光景を思い出した。
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それは当時の正捕手だった古田敦也が若い投手たちに授けたアドバイスである。投手も人間であり、“弱さ”を抱える。懐を突こうとするとき、打者に当ててしまうかもしれないという“罪悪感”が芽生え、攻める気持ちにブレーキがかからないともいえない。古田はそんな投手心理がわかるのだろう。だから、ミーティングでは、こう言って投手を鼓舞していたというのだ。
「内角を投げるのが苦手なヤツ、内角に投げ切れないヤツは足元に投げてくれ。足を払え。足元をずらしてから、外にいくぞ」
足――。
古田は名捕手としても鳴らした野村克也監督の薫陶を受けてきた。「ノムラの考え」のなかには内角攻めについて、こんな一家言がある。
「足払い、腰払い、手払い」
足を引かせる、腰をのけぞらせる、手をよけさせる。とりわけ、頻繁に使っていたのが「足払い」である。
足元をえぐるのは理由がある。
なぜ内角攻めで「足払い」をするのか?
ひとつは打者の打撃を狂わせられるということ。打撃は下半身を主導でおこなう動作であり、足を襲われた打者は当然、避ける。その動作だけでも足元はぐらつき、“地に足をつけた”感覚がそがれる。その直後から重心は浮きがちになり、踏みこめなくなることもある。最後に抑えるための布石として厳しい内角球を使うのである。
そして、もうひとつは投手と打者の勝負におけるモラルである。打者はいわば恐怖心と隣り合わせで打席に立つ。時には死球を覚悟する状況もあるなかで、往年の大打者は相手捕手に注文したものだ。
「当てるなら頭だけはやめてくれ」
そうなのだ。頭部への死球は時に深刻な事態を引き起こしてきた。メジャーリーグでは1920年に頭部死球を受けた打者が翌日に死亡する事故も起きたし、日本でも70年に阪神の田淵幸一が左側頭部への死球で昏倒し、全治3カ月の重傷を負った。

