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「この状況は非常に危険」今年のプロ野球“死球が多すぎる”問題…元スコアラーが分析する「意外なワケ」とは? いま思い出す「野村克也の教え」 

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酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

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photograph bySankei Shimbun

posted2026/10/14 11:00

「この状況は非常に危険」今年のプロ野球“死球が多すぎる”問題…元スコアラーが分析する「意外なワケ」とは? いま思い出す「野村克也の教え」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

今季、両リーグ最多の20個の死球を受けた阪神の森下翔太。なぜ今季はこれほど死球の話題が多かったのだろうか?

「NPBでは年々、1.5kmから2km弱ぐらい、なだらかな右肩上がりで投手の平均球速が上がっています。全体的な球速が上がっているなかで、それなら制球力も上がっているのかという話ですが……」

 今日は多くの投手が150kmを超える速球を投げ、パワーピッチャー全盛の時代に入った。志田が今季のセ、パ両リーグのデータをこまかくチェックすると、興味深い傾向が浮き彫りになった。

球速は全体的に向上…一方で制球力は?

「統計のなかにゾーン内投球とゾーン外投球というのがあります。ストライクゾーンに入ったボールか、そうでないかということですね。意図してボール球を投げているケースもあるので、一概に言えないのですが、このゾーン内投球の割合が12球団で減っているんです。つまり、ボール球が多くなっているんです。ピッチャーが、ゾーン内に投げる能力が去年よりも低下している傾向が、顕著に出ています」

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 つまり、剛速球を投げる出力は上がったものの、ボールをあやつる制球力が追いついていないのである。

 投手にとって大切なのは球速、変化、コントロールの3要素。これらが噛みあうことで高いパフォーマンスを発揮できるわけだが、現在は球速を偏重するあまり、3つの要素がバランスを欠き、ひずみが生じている。その結果、技術が追いつかず、制球の定まらない投手が死球を当て、深刻な負傷を招いているという志田の見立てである。

 だが、打者の懐を攻めずに生き延びた投手はいない。打者に好き勝手、打たせないためにも、いかに内角を攻めるかが大切になる。志田もその効果をこう説明する。

「なぜインコースを投げるのかといえば、弱点を突く狙いもありますが、もし失投してしまった時に相手のスイングを弱くさせたいという意図もあります」

 だから投手はホームベースと打席に立つ打者のあいだのスペースを厳しく突こうとする。

 それゆえ死球は投手と打者の勝負に付き物だ。志田はさらに12球団のデータを深掘りしていくと、明解な傾向を発見した。

 投手がストライクゾーンとその周りのどこに投げて打者の体に当てたのかを示す、投球の分布チャートをみたとき、今季、死球となった632球のうち、右打者の場合はストライクゾーンの右上近辺、左打者の場合も左上近辺にボールが集中していたという。

【次ページ】 なぜ内角攻めで「足払い」をするのか?

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