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「箱根で活躍した選手がマラソンで失敗するのは…」大迫傑35歳がケニアで語った“選手にとって邪魔なプライド”とは?《シカゴマラソンへ》 

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涌井健策(Number編集部)

涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui

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photograph byKanta Nakamura

posted2026/10/09 18:01

「箱根で活躍した選手がマラソンで失敗するのは…」大迫傑35歳がケニアで語った“選手にとって邪魔なプライド”とは?《シカゴマラソンへ》<Number Web> photograph by Kanta Nakamura

昨年、34歳でマラソン日本記録を更新した大迫傑

「自分は0からのスタートだと思えば、過去の成果に縛られずに新しい情報やトレーニングをスムーズに受け入れられます。人生も走ることも、良い意味での『遊び』や『暇つぶし』に近いのかなと本気で思っています。

 だって世の中のビジネスやサービスも、自給自足を貫いている小さなコミュニティから見れば不要な『暇つぶし』の側面がある。自分のやっているランニングも暇つぶしです。でも、どうせならみんなを巻き込んで、楽しい暇つぶしにしたいじゃないですか。ランニングを軸にしたイベントも、ワクワクするための『新しいゲーム』だと思っています」

意識の低い集団に流されないよう必死だった

――昔の大迫選手はもっと緊張感があり、周囲を寄せ付けない感じがありました。「遊ぶ」とは遠かったような。

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「当時はその硬さ、つまりガードがないとアスリートとしての自分を守れなかったんだと思います。意識の低い集団に流されないよう必死でした。今は自分の姿を理解・確立できたのでオープンになれているんだと思います。

 スポーツ界では若さや派手さ、パワフルさが評価されがちですが、そうではないアプローチやストーリーによる『強さ』『成果の出し方』があってもいいんじゃないか。これもアンチテーゼですね。だからこそ失っていくものではなく、『今、自分にあるもの』に意識を向けることで、その人固有の強さが際立つというメッセージを表現したいんです」

 最後が、この《枯淡》シリーズのラストを飾る「龍吟」だ。龍の鳴く声というのが元来の意味だが、優れた者同士が感応し合うこと、英雄の出現によって自然と物事が大きく動く様子といった意味も表している。この言葉に大迫は自分をどう重ねたのか。

――「龍吟」はあまり聞き慣れない熟語です。これをシリーズの最後に持ってきたのはどういう意図があったのでしょうか。

「熟成され濃くなった中身を、どう外側、つまり周りの人たちへ伝えていくか、アウトプットしていくかという段階を示す言葉として選びました。つまりシカゴマラソンだけでなく、その先も見据えた言葉ですね。ランナーとして自分が探求してきたことを、マラソンという競技で表現することはもちろん、日本の陸上界や後輩たちに還元したり、競技を盛り上げる試みをしていくことにも繋げていきたいので。

 実際に、僕自身のトゲトゲしさが無くなってオープンになってきたことで、後輩たちもコンタクトしやすくなっているのかもしれません。ケニアの合宿で一緒だった今江(勇人)のように既存のコミュニティのプライドに縛られず、自分自身を理解して、素直に努力できる選手は強いですね」

 インタビューを終えて、《枯淡》という言葉を改めて考えてみた。

【次ページ】 増やすのではなく、減らす

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