ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
「キレちゃいないよ」長州力が安生洋二を“制裁”した背景…なぜ安生は大ブーイングを浴びたのか? 新日本vsUインター全面戦争で消えた“UWF最強幻想”
posted2026/10/09 17:46
長州力が安生洋二にサソリ固め
text by

堀江ガンツGantz Horie
photograph by
東京スポーツ新聞社
現在発売中の『群像UWF3派 1991-2000 プロレスラーが生んだ総合格闘技の時代』(著:堀江ガンツ/竹書房)より、「髙田延彦、足4の字固めで敗れる 新日本vsUWFインター全面戦争」の章を抜粋して掲載する。武藤敬司vs髙田延彦、長州力vs安生洋二など、今も語り草となっている対抗戦はいかにして実現したのか?《全3回の2回目/第3回に続く》
◆◆◆
迎えた10・9東京ドーム当日。横浜で名を上げた永田裕志は第1試合を任され、ケンドー・カシンこと石沢常光と組んで出場。対戦相手はUインターの金原弘光&桜庭和志だ。
この試合、普段は黒のショートタイツで脚にレガースを付けて試合をしている金原が、ムエタイのトランクスに素足で登場した。その意味を「相手に痛みをわからせるためだった」と語る。
ADVERTISEMENT
「10・9東京ドームの新日本との対抗戦は、相手はオリンピックを狙えるような選手だからやりがいはあったんだけど、プロレスの試合だから厳密に言えば勝敗を競ってるわけではないからさ。じゃあ、その中で相手に何を伝えたいかと考えた時、『打撃を食らったらこれだけ痛いんだぞ』という痛みを教えてやりたいと思って、だからレガースを取ったのよ。レガース着けて蹴るのと生ズネで蹴るのとでは、痛みが全然違うからね。
それでローキックとかミドルキックはしっかりカタいの入れて痛みを味わわせて、ハイキックは当たれば1発で終わっちゃうから、わざと顔の前でブンブン空振りして、『いつでもKOできるんだぞ』っていうのをわからせたかったんだよね」(金原弘光/『KAMINOGE 162号』)
永田が感じた「新日本とUインターの違い」
そんなプロレスの範囲ギリギリの攻防の中、観客を盛り上げたのは永田のグレコローマン仕込みのスープレックスだ。金原に胴タックルで組みつくと、アームロックを狙う金原を、バックから強靭な背筋力を使って一気にジャーマンで投げ捨てた。試合後半には、桜庭も同じようにジャーマンで投げている。
バックを取らせてのアームロックは、のちにPRIDEでグレイシー一族を次々と極めていった桜庭がもっとも得意とする技。永田はそれを極めさせる前にジャーマンでぶん投げ、未遂に終わらせる動きをしていた。
