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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「衝撃のダウン」那須川天心は“最大かつ唯一のチャンス”をなぜモノに出来なかったか「井上拓真とのキャリアの差が…」元世界王者・飯田覚士が徹底解説
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2026/10/02 17:06
井上拓真と那須川天心の“運命の再戦”は王者・井上に判定3-0で軍配が…この試合を元世界王者・飯田覚士はどう見たのか?
「拓真選手はここでも巧かったですね。元々ロープ際の攻防に自信があるので、そこにひきずり込んで手を出させてガソリンを使わせていきました。上体を柔らかく動かして、肩を使いながら、ときにクリンチしながらいなしていく。一方、天心選手は左で倒したイメージが強く脳裏に残っているから、明らかに左狙いになっていました。ここで右のジャブ、フック、ボディ、アッパーを混ぜていたら、また違った展開になっていたかもしれない。拓真選手からすれば相手の左だけ警戒すれば良くなった。だから余裕のある感じに見えたんだとは思います。残り20秒になるところで天心選手の左に拓真選手がよろめいてロープをつかんだシーンがありましたが、あれはまた足が絡んでバランスを崩したに過ぎない。残り時間を通してダメージを回復させた感じはありました」
大きなカギを握った8Rの攻防
最大のチャンスを逃がしたチャレンジャーと、最大のピンチを切り抜けたチャンピオン。それでもダウンを奪っている以上、ここから一気に那須川ペースに傾く可能性はあった。続く8ラウンドの攻防が、大きなカギを握った。
「拓真選手は最初こそ距離を詰めてパンチを打ち込みましたけど、スピードを活かしたヒット&アウェイモードに切り替えましたよね。左ジャブからきちんと突いて、頭を常に動かし、左フック、右ストレート、右ショートのカウンターに徹する。もう気を緩めちゃいけないと集中力が増して、ジャブの差し合いでも勝っていく。それこそ右のショートは良かったですね。天心選手が行きたくても行けない状況に(終盤戦は)徹底していたように僕の目には映りました。終盤、スピードが落ちるどころか上がっていった印象すらありましたから」
拓真は「負けないボクシングを確立した」
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ジャッジの採点表を見ると、那須川がダウンを奪った後の8ラウンドから最終12ラウンドまで、ジャッジ3者ともに残り5ラウンドのうち4ラウンドを井上のほうに「10」をつけている。せっかく奪ったダウンをターニングポイントにできなかった事実が浮かび上がる。


