ハマ街ダイアリーBACK NUMBER

「最強ソフトバンクに2連敗→4連勝」あの熱血男が覚醒…日本シリーズMVPになった“納得の理由”「負けて悔しくないんか?」7年前からあった“怒り”

posted2026/09/29 17:03

 
「最強ソフトバンクに2連敗→4連勝」あの熱血男が覚醒…日本シリーズMVPになった“納得の理由”「負けて悔しくないんか?」7年前からあった“怒り”<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

DeNAに在籍していた2024年に日本シリーズで最高殊勲選手賞(MVP)を獲得。チームの日本一に貢献した桑原将志

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

PROFILE

photograph by

Nanae Suzuki

5年連続のクライマックスシリーズ進出を確定させた横浜DeNAベイスターズ。宮﨑敏郎、牧秀悟、山﨑康晃、佐野恵太、三浦大輔ら、所属選手・監督へのインタビューをまとめた書籍『ハマ街ダイアリー 2018-2026 ベイスターズ45人「本音」の記録』(著・石塚隆)が発売中だ。今回はその中から、2024年・桑原将志へのインタビュー内容を抜粋し、紹介する。【全2回の1回目/第2回も公開中】

「全員が同じ方向を見て戦えるかどうか。そこがすごく大事なことだと思います」

 ハマのガッツマンは確信を込め、ここ数年そう語ってきた。

 福岡ソフトバンクホークスの圧倒的有利の下馬評をよそに、ここまで日本シリーズで3勝2敗と26年ぶりの日本一に王手をかけた横浜DeNAベイスターズ。三浦大輔監督がシーズン当初から語っていた「チーム一丸」の精神のもと、圧倒的強者であるパ・リーグ覇者を飲み込もうとしている。

切り込み隊長としてチームをけん引

ADVERTISEMENT

 なかでも存在感を放っているのが入団13年目の31歳、ベテランの域に突入しつつある桑原将志だろう。積極的なプレースタイルと明るいキャラクターでチームを照らす唯一無二の存在であり、チームをけん引するひとりになっている。

 こだわりを持つポジションであるリードオフマンとして挑んでいる日本シリーズ。桑原は第3戦で決勝のソロアーチを放つと、守備でもダイビングキャッチを試みてピンチの芽をつみチームに躍動感を与えた。さらに第4戦では猛打賞に加えダメ押しとなる2点タイムリーを放ち、第5戦は牧秀悟の3ラン本塁打のお膳立てとなる出塁、そしてまたも魅せた勝負の流れを渡さないファインプレーなど、攻守の中心選手としてチームの士気を高めている。

 ポストシーズンにおいて桑原は、巨人と戦ったクライマックスシリーズ(CS)ファイナル最終戦からリードオフマンを任されている。それまで1番だった梶原昂希に代わって、下位を打っていた桑原が切り込み隊長に抜擢されたわけだが、石井琢朗チーフ打撃コーチいわく「短期決戦ということで、勢いと経験のあるクワに任せてみよう」との狙いがあった。シーズン後半から調子を上げ“残暑男”と賞賛された桑原としても勝手知ったるポジション。結果、期待に応えチームにいい波及効果を与えるに至っている。

 日本シリーズ2連敗後に、キャプテンの牧秀悟の提案で行われた緊急ミーティングでは、2017年の日本シリーズを知る選手として発言を求められると「負けて悔しくないんか?」とナインに情感を込め檄(げき)を飛ばした、と報じられた。

 その脳裏には7年前の日本シリーズで、何もできなかった自分がいた。あのとき、1番センターのレギュラーとしてソフトバンクと戦っていた桑原は、全6試合に出場し、26打数4安打、打率.154と低迷し、務めを果たせずにいた。第6戦でサヨナラ負けを喫し、日本一の歓喜に沸くソフトバンクナインの様子をベンチから最後まで黙って見つめつづけていた桑原の悔しさと憤りを含んだ表情は今も忘れられない。

 当時は24歳と若く、自分のことで手一杯だったが、チームとして勝つこととはどういうことなのかを痛感した瞬間だった。

【次ページ】 シリアスな表情でつぶやいた「一言」

1 2 NEXT
#横浜DeNAベイスターズ
#桑原将志

プロ野球の前後の記事

ページトップ