甲子園の風BACK NUMBER
偏差値70の名門公立校「甲子園のその後」は? ショートは建築志望、医学部志望のライトは「甲子園から帰って3日目には勉強に切り替えました」
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内田勝治Katsuharu Uchida
photograph byKatsuharu Uchida
posted2026/09/04 11:01
今夏、偏差値70の文武両道校として甲子園で話題を呼んだ東筑の3年生。(左から)佐藤太亮、平山護、深町光生、筋田泰雅に「これから」を訊いた
患者の「生」と真摯に向き合う内科医を目指す佐藤のもう一つの夢は、その家族に甲子園でプレーする姿を見せることだった。両方を叶えるための近道は、毎年医学部合格者を複数名輩出し、野球部も「公立の雄」として県内屈指の強豪で知られる東筑以外に考えられなかった。
「2017年夏、僕が小学3年の時に、東筑が甲子園に出たんです。(県大会で)私立の強豪を次々と倒していく姿が本当にかっこよくて……。姉も東筑に通っていたので、自分もこの高校で甲子園に行きたいと強く思って入学しました」
熊本地震の衝撃で建築に興味を持った
一方で、今夏は遊撃手として内野陣を支え、攻守に粘り強さを発揮した筋田泰雅(3年)が描く将来像は「一級建築士」だ。その原点には、幼少期に目撃した巨大災害の記憶があった。
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「もともとブロックで何かを作ったりするのが好きだったんですが、建築に強く興味を持ったのは2016年の熊本地震でした。幼いながらに現地で見た熊本城のブルーシートや壊れた家屋の衝撃が忘れられなくて……。地震が多い日本だからこそ、災害が起きても倒壊せず、多くの命を守れるような住宅や建造物を作りたいと思ったんです」
当初は工業系の高校への進学を考えていたが、中学時代に所属したクラブチームの監督から「大学で建築を学ぶ道もある。高校は野球も勉強もできる環境に行ったほうがいい」と背中を押され、進路を変更した。
「小3のときに東筑が甲子園出場の切符を掴んだ福岡大会の決勝(対福岡大大濠)を、実は相手のスタンド側から見ていました。当時の東筑は僕にとって雲の上の存在でした。でも、自分も努力すればあのユニホームを着られるかもしれないと思って勉強しました」
無事に入学試験を突破し、伝統校の門を叩いた2人。しかし、待っていたのは進学校ならではの過酷な現実と、甲子園を目指す厳しさの両立だった。過密なカリキュラムと日々の練習。いかにして知性と体力を破綻させずに高め合ってきたのか。
活用したのは「朝の時間」
2人に共通するのは、朝の時間を有効活用することだった。

