獅子の遺伝子BACK NUMBER
「ああ、本当に終わるんだな」西武・栗山巧の引退を旧友が実感した“ある場面”「バッティングに関しては変人」“1周回って”なお進化求めた打撃道
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byJIJI PRESS
posted2026/08/27 11:05
2009年8月、9回、サヨナラの内野安打を放ち、飛び上がって喜ぶ上本達之と栗山巧
後輩に対する姿勢も変わったと皆が口にするが、こちらが本来の栗山の姿ではないかと上本氏は考えているそうだ。
「若い頃の、近寄りがたい雰囲気や、プレー中に見せた殺気は減りましたけど、もともと、キャラ的にはおもしろいことを言いたい人ですし、後輩のことも構いたい人なんだと思いますよ。今、チームが世代交代をして、いろいろと考えた結果、こうして後輩と接した方がいいのかなと思っているんでしょう。僕は、あれが素の姿だと思うんですよ。やっと素が出せるようになったのだと思います」
「本当に終わるんだな」実感した瞬間
引退の日は刻々と迫っている。現在は中国・四国地方でスカウトとして活動し、なかなか栗山のプレーを生で見ることはできない上本氏。最後に何か伝えたいことはないかと尋ねると、こんな答えが返ってきた。
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「今シーズン、クリが最初に一軍に上がったときも配信で試合を見ていたのですが、ベンチでのクリの雰囲気とか、座る位置がこれまでとは違ってたんですよね。今までは、いつも決まっていちばん端に座っていたのに、今回は端にいなかったんですよ。ベンチの真ん中にいたり、立って見ていたりしていました。
そして、すごく柔らかい表情をしていました。その姿を見て『ああ、本当に終わるんだな。本当に最後のシーズンを過ごしているんだな』と実感しました。僕が何かを言ったからといってクリの心境が変わるわけではありませんが、もし一言伝えるとしたら、クリが思うまま、最後までクリらしくプレーしてほしいという言葉です」
若き日の熱い血潮がたぎるような姿や、チームのために自我を捨て尽くした姿、晩年の、後輩たちに何かを伝えるために見せ続けた背中――。どれも本来の栗山の姿なのだろう。
それでも最後は自分だけのために白球を追ってほしいと旧友は願っている。〈前編も公開中です〉


