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甲子園の風BACK NUMBER
「胸を張って熊本に帰る」号泣の有明ナイン…それでも前を向いた「笑顔で楽しく」甲子園の夏が終わっても被災地代表校が清々しかった理由
text by

間淳Jun Aida
photograph byHideki Sugiyama
posted2026/08/24 11:03
準々決勝後、涙にくれた有明ナインだったが、熊本のために懸命にプレーした
追い風に乗っている選手を塁に出した健大高崎だが、全く慌てななかった。その後、2死二塁となった場面だった。遊撃手の神崎翔斗選手が二塁走者の後ろからベースに入るタイミングに合わせて、マウンドの石垣聡志投手が素早く二塁へ牽制球を投げる。タッチアウト。ピンチを脱した。さらに、健大高崎は6回表の守備でも、2死二塁から再び牽制でアウトを取る。選手にグリーンライトを与え、積極的に次の塁を狙う有明の機動力を封じた。大岩が語る。
「二塁牽制は二遊間、投手、捕手で連携を深めてきました。隙があれば、この試合で狙っていこうと。自分たちは隙を見せず、相手の隙を突くことを日々心掛けて練習しています」
足でかけた「目に見えないプレッシャー」
相手の武器を封じるだけではない。大岩は、初回に二盗、三盗を決めた有明・永田のお株を奪うように、9回には自身も三塁を陥れた。
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「三盗は成功する確信があったので、自分の判断で走りました。足を使うことで、相手投手が打者だけに集中できない状況をつくろうと考えました。目に見えないプレッシャーをかける野球が、自分たちの持ち味ですから」
健大高崎の守備力と集中力は、有明の選手たちの想像を上回った。牽制で刺された広沢は悔やみながら、こう証言した。
「牽制は予想していないわけではありませんでしたが、気付いたら二塁へ牽制球が来ていました。自分のヒットで得点のチャンスをつくったのに、走塁ミスで流れを悪くしてしまいました」
そして、「健大高崎には、攻撃も守備も簡単には崩せない強さがありました」と続けた。
他の選手たちも、隙を見せない健大高崎の守備にプレッシャーを感じていた。主将の實田は「バッテリーを中心とした堅い守りで、チームが武器とする足を封じられてしまいました。1球への粘りや執念、集中力の高さを感じました」と脱帽した。
「胸を張って熊本に」「笑顔で楽しく」
勝利には、あと一歩届かなかった。それでも、有明が今大会、旋風を巻き起こしたのは間違いない。初めての甲子園でベスト8入りした戦いぶりには、誰もが賛辞を惜しまないだろう。實田は「自分たちは大舞台で全力を尽くしました。胸を張って熊本に帰りたいです。応援の力が本当に大きかったので、地元に戻って感謝を伝えたいと思います」と涙をぬぐった。
聖地で力を出し切った思いは、他の選手も同じだった。健大高崎打線を1失点に抑えた斉藤遼汰郎投手も前を向く。

