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「今の野球を目指すにはついていけない」MLBレジェンド投手が“引退”を選んだ本当の理由…大幅に増える本塁打数「野球の価値観」はなぜ変わったか?
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笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2026/07/27 17:01
今季での引退を発表したバーランダー
事実、17年は史上最多の6105本塁打を記録。その際には南カリフォルニア大とケント州立大学がボールをX線検査で分析し、以前よりも2.6メートル飛ぶようになったと試算した。そして、飛距離2.6メートル増は本塁打数25%アップへつながると結論づけた。
昨季の本塁打数は5650、昨今は5500本から5800本台を推移しているが、バーランダーが球宴初出場を果たした07年の4957本塁打とは大きな隔たりがある。
また、飛ぶボールに加え、ABSの普及もあり、ストライクゾーンはホームプレート上だけに厳格化。以前は左打者の松井秀喜氏が「右打者の打席のライン上までストライクだった」という広さは無くなり、打者有利の環境が作り出されている事実も『今の野球』のひとつだ。
「今の野球を目指すにはついていけない」
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だが、現役最多の通算266勝、3554三振を奪うレジェンドはそんな打者有利の環境を嘆いているわけではない。その環境下で打者を抑えるための投手の進化について、今の自分の体の状態ではついていけないと球宴の囲み取材の場で訴えた。
「ジェイコブ・ミジオロウスキー(ブルワーズ)は本当にすごいと思うよ。105マイル(約169キロ)の速球を投げて、しかもトップの位置からリリースポイントまで体幹が移動していく距離が7フィート(約2.1メートル)もある。これは球速アップにつながる。彼は誰もやったことのないようなことをやっているんだ。だから、あんな球速が出る。野球ファンとしても、若い才能を見るのが好きな人間としても、彼は絶対に見逃せない存在。彼が投げる試合は見なければいけない。ポール・スキーンズ(パイレーツ)やタリク・スクバル(タイガース)も今にあった形で打者を抑えている。だが、僕の体はもう限界だ。300勝と4000奪三振は達成したかったが、今の野球レベルで戦うためには技術的に何をしなければいけないかは分かっている。でも、今は体がそれをさせてくれないんだ。今の野球を目指すにはついていけないんだよ」
長年、バーランダーは先発投手の理想像とも言える耐久性を求めてきた。シーズン200投球回は07年から8年連続、通算で12回をマーク。200奪三振も09年からの5年連続を含む9回、19年には36歳で初の300奪三振を達成し2度目のサイ・ヤング賞も受賞した。通算556先発は現役最多であり、歴代29位の金字塔だ。
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だが、今の先発投手は160キロ以上を投げるものの、100球、6回降板がザラだ。サイ・ヤング賞の目安とされた200回投球にはほど遠く、昨季引退したクレイトン・カーショウ(元ドジャース)、ブルージェイズのマックス・シャーザーを含め、馬車馬の如く投げ、長いイニングをマウンド上で支配する投手は絶滅危惧種になった。

