バレーボールPRESSBACK NUMBER

「真っ暗なリビングで膝を…」家族だけが知る、男子バレー清水邦広“命を削るような壮絶な時間”「夫は最後の一日まで、ずっと準備し続けていました」 

text by

田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

PROFILE

photograph byOSAKA BLUTEON

posted2026/07/17 11:07

「真っ暗なリビングで膝を…」家族だけが知る、男子バレー清水邦広“命を削るような壮絶な時間”「夫は最後の一日まで、ずっと準備し続けていました」<Number Web> photograph by OSAKA BLUTEON

引退セレモニーでは妻・七菜さんと娘、息子も駆けつけた

 毎年、シーズンが終わると膝のクリーニング手術をするのが常だった。2週間程度の入院を経て、また新しいシーズンに向けて動き始めるのが毎年のルーティンだったが、2024/2025シーズンを終えた時、清水が七菜さんに言った。

「今年は手術、しないから」 

 もともと雄弁ではなく、改まった相談も決意表明もしない。だが、「手術をしない」という言葉だけで、引退を決意していることが七菜さんには理解できた。

ADVERTISEMENT

「膝の状態がだいぶよくないことはわかっていたので、もう無理なんだな、と。特にこの1年はもう跳べないどころか、(膝が)上がらないと言っていたので。後輩が伸びてきて勢いがあると本人も言っていたし、もうここまでしかできない、という崖っぷちまでやったという感じがあるから、ここで終わろうと決めたんだと思います」

「パパ、バレーボールやめちゃうの?」

 4月24日に現役引退が発表された。5月には最後のホーム開催となった大阪でのセミファイナル終了後にコートでセレモニーが行われ、「SHIMIZU」のユニフォームを着た七菜さん、3歳の長女と1歳の長男も訪れ、並んで集合写真に収まった。引退会見での表情も清々しく、涙はなく「やりきった」と繰り返す清水は終始、笑顔だった。

 ただ、子どもたちにはパパの膝が痛いことは理解できても、「引退」の意味はわからない。幼稚園から帰宅した長女が七菜さんにたずねた。

「ねぇママ、幼稚園の先生から『パパやめちゃう、お疲れさまでした』って言われたんだけど、パパ、バレーボールやめちゃうの?」

 どう答えれば伝わるか。夫婦で知恵を絞り出し、まだ幼い娘にも理解できるように説明した。

「パパはね、これから幼稚園の先生のように、バレーを教える人になるんだよ」

 ふうん、と答えながら娘はもう一つ疑問を重ねた。

「パパは先生になるの? バレー上手なの?」

 七菜さんも笑顔で応えた。

「そうだよ。パパはすごくバレーが上手だったから、これからはみんなに教える先生になるんだよ」

【次ページ】 じつは超キレイ好き? 夫・清水邦広の素顔

BACK 1 2 3 NEXT
#清水邦広
#大阪ブルテオン

バレーボールの前後の記事

ページトップ