濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
『ザ・ノンフィクション』放送も話題に…性別適合手術を受けた“女子プロレスラー”エチカ・ミヤビの思い「性転換してから、自分を許せるようになった」
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2026/05/29 17:03
PPPTOKYOの初代女子王座決定戦でちゃんよたと対戦したエチカ・ミヤビ
得意技の“チョップ”に込められた重い意味
敗れはしたものの、ちゃんよたとのタイトルマッチでも得意のチョップが猛威を振るった。野球のピッチングフォームから繰り出すオーバースローの一撃は烈しい破裂音とともにヒットする。
エチカは中学・高校と野球部に所属していた。ハードコアマッチでは金属バットを凶器として使う。加えて柔道も習っていた(二段)からバックボーンが試合に活きているわけだが、以前はそこにも複雑な思いがあった。
小さい頃から「なんで自分は女の子の服を着れないんだろう」と思っていた少年は「男っぽいことをやろう」と野球と柔道を選んだのだ。つまり自分が自分らしくいられずに悩んだ時期の記憶と結びついている。けれど、その経験が女子プロレスラーとしての闘いに役立っている。
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そんな矛盾、ジレンマは、リング上で自分をさらけ出すことで解消していった。野球をやっていたのも自分だし、女性としてプロレスをやっているのも自分だ。
「凄くおこがましいんですけど、自分のチョップがオカダ・カズチカ選手のドロップキックとか朱里選手のサッカーボールキックみたいな“この選手といえばこれ”という代名詞になっていければと。チョップのフォームは大谷(翔平)選手や山本(由伸)選手と同じ流行の理論を取り入れてるんですよ。ヒザをくの字に捻って、内から外に回転をつけて爆発的な力を出すように意識してます。チョップという技に野球が活きて、過去の自分と今の自分を仲よくさせてくれるエレメントになったんです」
『ザ・ノンフィクション』の密着映像も話題に
エチカ・ミヤビとして表現する場所は、リングだけではなくなっている。昨年はフジテレビの『ザ・ノンフィクション』で2年以上にわたる密着ドキュメンタリーが放送された。またEテレの『toi-toi』では“悪気はないけど傷つく言葉”について語っている。たとえば「女性よりも女性らしいね」。これまで1万回は言われたそうだ。
「でも、それって女性には言わないですよね」
○○なのに凄い。そんな表現は、実は下に見ているんじゃないかと感じてしまうとエチカ。「褒められてるのかナメられてるのか分からなくなってしまう」と。「私そういう友だちいっぱいいるから。分かってるから」と言われると「私コレクションじゃないから」と思う。当然のことだが、人格は1人ひとり違うのだ。



