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「女性として、家族への思いも生まれて…」結婚後の変化、立ち会えなかった父の死…吉田知那美(34歳)が告白「私がロコ・ソラーレを退団した3つの理由」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byShiro Miyake

posted2026/05/22 11:02

「女性として、家族への思いも生まれて…」結婚後の変化、立ち会えなかった父の死…吉田知那美(34歳)が告白「私がロコ・ソラーレを退団した3つの理由」<Number Web> photograph by Shiro Miyake

ロコ・ソラーレ退団、新リーグ参戦、カーリング以外の未来――。吉田知那美34歳が明かした【インタビュー第1回】

吉田が明かす「ロコ退団を決めた3つの理由」

「退団を決めた理由は1つじゃなかったから、自然と決められたというのがあります。大きく言うと3つありました」

 まず1つ目の理由を話し始めた。

「『私っていつ引退するんだろう』とか『いつ退団するんだろう』ってずっと考えていました。企業に勤めている方だと不思議な感覚かもしれないんですけど、アスリートにとっては自然な考えで、アスリートは絶対にいつか終わる、そのいつかが違うだけで、必ず終わるというのはずっと思っていて。カーリングを続ける1つの基準として、私が選手として強くあること、強くなっていくことで日本のカーリングに対する最大の貢献度がある場合は続けていきたいと思っていました。カーリングへの貢献は選手だけにあらず、コーチもそうだし、伝える側も、組織運営も、アイスメーカーも、さまざまな人たちがカーリングに対して貢献している中で、それが最大の貢献であると思っていたから。

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 それが少しずつ揺らぎ始めた要因のひとつは、年下の選手たちが出てきたこと。今回の世界選手権で優勝したチーム・シュワラー(スイス。スキップのゼニア・シュワラーは23歳)もそうですが、日本だとドラーゴ(ロコ・ドラーゴ。23、24歳のメンバーで構成されている)だったり、リラーズ(北海道銀行。22~25歳のメンバーで構成)だったり、12個、13個ぐらい年下の選手たちが出てきて、そろそろ私の席を空けるときが来るかもしれない、私が選手をやることがカーリング界への貢献じゃなくなる日も近いなって、考えが変わり始めました」

「河野知那美として、家族の夢も描けるようになった」

 カーリングでの立ち位置だけでなく、自身の人生も考えるようになった。それが2つ目の理由だと言う。

「結婚して変わらないと思っていた人生観……と言うと大きすぎるかもしれないんですけど、『カーリング選手 吉田知那美』としてかなえたい夢だけじゃなく、『河野知那美』として家族の夢も自然と描けるようになってきて、可能であるならば女性としてのライフイベントを経験して、家族を作りたいという思いも生まれてきました。病院の先生とも相談したんですけど、(ミラノ五輪の)次の4年もオリンピックを目指すとなると40歳近くになる。生物学的な事実として、その4年間で下がる数字が大きいという話をもらいました。1人だけじゃなくいろいろな先生の話も聞きました」

【次ページ】 今明かす、父の死に立ち会えなかったことへの後悔

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