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「女性として、家族への思いも生まれて…」結婚後の変化、立ち会えなかった父の死…吉田知那美(34歳)が告白「私がロコ・ソラーレを退団した3つの理由」
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShiro Miyake
posted2026/05/22 11:02
ロコ・ソラーレ退団、新リーグ参戦、カーリング以外の未来――。吉田知那美34歳が明かした【インタビュー第1回】
一般的に、35歳以上での初産は「高齢出産」とされている。その場合、母体や流産、出産後の発育などにおいてのリスクが高くなるという。そして年齢が上がるほど、そのリスクはより高くなると言われている。
「正直、結婚するまで、強くなること以外の体のメカニズムを勉強していなかったので、勝手に私もママさんカーラーになるんだろう、なれるだろうと思っていました。でも私が勉強していなかっただけで、知らなかった事実がたくさんありました。一度立ち止まって自分の人生を描き直す、じゃないですけど、自分の年齢であったり体の状態であったり、冷静に考えた上で、もう一回ライフプランを立てた方がいいな、オリンピックサイクルに乗っかって競技をすることによって、私は犠牲にしたくないものを犠牲にしてしまうかもしれないと思い始めました」
今明かす、父の死に立ち会えなかったことへの後悔
加えて、大きな出来事があった。
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「2024年の11月に父が亡くなりました。父が2025年を迎えられるかどうかぎりぎりという風に病院の先生から言われて、私にはカーリングで遠征に行くという選択と、父のそばにいるという選択がありました。家族はみんな、『自分で決めていい』と言ってくれて、最終的には自分で決断してみんなと一緒に、予定していた遠征に行くと決断したんですけれども、ちょうどグランドスラムの大会中に父が息を引き取りました。カーリングをすることによって何かを犠牲にしたりすることはないように、というのを心がけてはいたんですけど、私としては人生で初めてトラウマになるくらいの後悔した出来事でした」
では遠征に参加しないで父のそばにいる選択をしていたらどうだったろう……とも考えた。
「遠征に行かないと、オリンピックサイクルからその時点で降りることになるというか、そのシーズン、私が戦わないことで、もしかするとチームがオリンピックトライアルに行けない可能性も出てくる。日本に残る決断をしたらしたで、絶対に後悔していました」
選びようがない選択肢が2つ並んで、でもどちらかを選ばざるを得ない状況に直面した。
「人生で最悪な選択はもう二度としたくない、最悪の選択を二度としなくてもいい状況に自分の身を置くことも可能だとすごく思って、私はこれからもう少し家族との時間などにプライオリティを置きたいなって思いました」
「五輪サイクルを抜ける、イコール引退」
おのずとどうすべきか、道筋が浮かんできた。
「こういったことが全部まとめてきたので、ほんとうに自然に川の流れのように『退団しよう、オリンピックの流れから抜け出そう』と思いました」

