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「もっと速くなればファクトリーにも勝てる」MotoGP初表彰台達成の小椋藍が掲げるさらなる進化への課題と、タイトル獲得の可能性
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遠藤智Satoshi Endo
photograph byGetty Images
posted2026/05/13 11:05
フランスGPで3位フィニッシュし、拳を突き上げる小椋
今大会、ほとんどのライダーがベストタイムをマークしたのはタイヤがフレッシュな5周目前後。それに対し、優勝したマルティンは15周目にベストをマーク。藍はそれより遅い19周目にベストラップを刻んだ。
ブレーキング、コーナリング、そして立ち上がりと、丁寧な走りがタイヤライフをキープする。その反面、その走りがレース序盤のウィークポイントにつながる。タイヤに優しいがゆえ序盤にタイヤを上手く機能させられず、一発の速さが要求される予選では上位進出を阻む。次なる目標となる初優勝に向け、藍は自分の課題と抱えるウィークポイントをこう語っている。
「いつも後半を考えて走っているのですか?と聞かれるけれど、そんなことはないし、常に全力で走っている。自分のウィークポイントは、これまで何度も言ってきたが一発の走り……予選でいいグリッドを獲得することが自分の大きな課題です」
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後半に強い藍が好グリッドからスタートすれば、後半の強みをさらに生かせる。次戦はMoto2時代も暑さの中でタイヤライフをキープして独走優勝を遂げたカタルーニャGP。ル・マンの決勝レースは気温17度、路面温度22度と藍にとっては厳しいコンディションだったが、それでも素晴らしい追い上げを見せた。カタルーニャの気温が20度台半ばから30度前後に上がれば、MotoGPクラスでも独走優勝が見られるかもしれない。
ル・マンきっかけの飛躍の歴史
藍にとってル・マンは、ライダーとして常にターニングポイントになってきたサーキットだ。Moto3クラスにフル参戦を果たした2019年は、初のフロントローとなる3番手を獲得。結果は転倒リタイアだったが、たしかに藍の才能を感じさせた。Moto2クラスではチャンピオンを獲得した2024年に2位となり、シーズン初表彰台獲得。その勢いのまま第6戦カタルーニャGPでシーズン初優勝を達成し、チャンピオン街道を突っ走った。

