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「夏場に向けて戦力を準備しないと…」借金生活が続く広島が、若手抜擢の“継投”に見出す夏場以降の勝機
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前原淳Jun Maehara
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2026/05/11 11:02
今季はすでに、昨季と並ぶ7試合に登板している遠藤
「投げながら成長してきている」
そう評価するのが、3年目の高だ。
昨季、先発として後半戦だけで3勝を挙げた左腕は、今季は中継ぎとして新たな役割を担う。4月30日の巨人戦では1点差を追う6回をテンポよく三者凡退に抑え、逆転勝利につなげた。5月1日の中日戦では2点リードの6回1死一、三塁から登板。犠飛による1失点でしのぎ、今季2ホールド目を記録した。引き分けに終わった5日のDeNA戦でも延長11回を無安打投球。今季初登板から9試合連続無失点で首脳陣からの信頼を高めている。
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勝ちパターンの再整備は、上位浮上のためにも喫緊の課題だった。開幕時に勝ちパターンを任された森浦と島内颯太郎がそろって不調に陥り、4月までに2人で3敗。チームの流れを悪くする一因にもなった。
首脳陣は早い段階で配置転換に踏み切った。セットアッパーには今季キレを取り戻したテイラー・ハーンが入り、抑えには経験豊富な中崎翔太を据えた。
開幕から11試合連続無失点のハーンに対し、中崎は失点する登板もある。それでもベンチが最後を託すのは、修羅場をくぐってきた経験と度胸のある中継ぎ最年長しかいなかった。
チームの命運を握るブルペン投手陣
広島にとって最初の難関だった月またぎの連戦を貯金1で乗り切り、さらにハーンと中崎の登板をともに2試合に抑えられた。石井コーチの狙い通り、ブルペンの負担を分散させながら、経験の浅い若手投手に経験値を積ませることができた。
もちろん、若手抜擢にはリスクも伴う。ドラフト2位の新人・齊藤汰直も競った展開で起用されたが、5月2日の中日戦でスコアレスの7回に4失点。痛打される登板が続き、9連戦終盤に二軍降格となった。
若手の底上げとともに、実績ある投手の復調も欠かせない。
開幕時の抑えだった森浦は、一時の不調から立ち直りつつある。5月1日の中日戦では今季初めてリードした展開で7回を無失点に抑えたが、いつもと同じように感情を表に出すことはなかった。
「まだまだマイナスの方が大きい。ここから貢献できるようにと思っていますから」
二軍調整中の島内も同じ思いでいる。戦列を離れたことで、知らぬ間に重心が外側へ傾き、腕の振りに影響していたことが判明した。フォームを微修正しながら、復帰へ向けて登板を重ねている。
遠藤と高が今後さらに経験を積み、森浦と島内が本来の力を取り戻せば、ブルペンの景色は変わる。苦しい春だからこそ選択した大局的な中継ぎ運用の真価は、夏場以降に表れてくる。

