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「骨が動いた感覚あった」中谷潤人が明かす“骨折を確信した”瞬間…井上尚弥と打ち合う“リアルな感触”「近い距離は戦える」「パンチ当たらない」
text by

宮田有理子Yuriko Miyata
photograph byNaoki Fukuda
posted2026/05/08 17:01
“怪物”井上尚弥を相手に、プロ初黒星を喫した中谷潤人。激戦から4日後、中谷本人が語った
中谷 練習の段階からいろんな事態を想定していました。最悪、片方の目が見えなくなるとか。ダブルビジョン(二重に見える)までは想定してなかったですけど。そこはでも、日ごろの想像力で対応できた気がします。
12回「狙った相打ち…しかし」
――骨折して迎えた最終ラウンドの心境は?
中谷 いやもう、倒しに行く、ってことだけでした。井上選手は僕にアッパーを効かせたことがわかってるから、次も来るだろう、と。そこで右に合わせて打って、相打ちから手を出していこうと考えていました。
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――しかし井上選手は、出てこなかった。中谷選手の相打ちを警戒していたから、出てこなかったようにも見えます。
中谷 たぶん、そうですね。
中谷の誤算…「全然ちがいました」
――試合前、岡辺トレーナーは、狙い目は「井上選手のパンチと“同時に打つ”こと」だと言っていました。
中谷 そうですね。ある程度のタイミングは、ラウンドを通してわかった部分はあったんですけれど……。それでも、ギリギリで避けられて、フェイントの掛け合いもあって、なかなか当てさせてくれない。当たった! と思っても、すぐ首でいなされたりとか。いろいろアイデアを実行していっても、すぐに学習されてしまう。そして、あのステップの速さです。そこが井上選手は特別でした。全然ちがいましたね。
――試合終了のゴングと同時に、中谷選手に満面の笑みが見えたのですが、あの笑みはどこからくるものでしょう。
中谷 ……リング上で出たことが、すべてだと思うんです。その日の僕、中谷潤人が出し切れた、という気持ちですね。本当にたくさんの人に見てもらえる中で、いいファイトができたという思いがありました。ハッピーでしたし、何かを感じ取ってもらえたかな、と。
――判定が下されるまでの間、勝敗についてどう思いましたか?
〈つづく〉


