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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「中谷選手は打たせてもらえなかった」“パンチ温存策”の中谷潤人を、井上尚弥はいかに封じたか?「井上選手は漫画のよう」怪物と最も拳を交えた男が解説
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森合正範Masanori Moriai
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2026/05/07 11:03
井上尚弥vs中谷潤人“世紀の一戦”の序盤戦は、なぜ静かな展開になったのか?
「井上選手のインプットは漫画のよう」
井上は2024年5月のネリ戦、2025年5月のラモン・カルデナス戦でいずれも大きな左フックを浴び、ダウンを喫した。中谷は2023年5月にモロニーをワンパンチで倒すなど左のオーバーハンドを得意としていた。
――それは勝負のラウンドに向けて、モーションや軌道を分析させないようにしていた、温存していたということですね。
「そう思います。やっぱり見せちゃうと、井上選手のインプットは漫画のようにすごいから、すぐに読まれてしまいます。でも今回、井上選手は序盤から右のパンチを打った後、大きく下がったり、大きく頭を振ったりして、中谷選手に左フックや左のオーバーハンドを打たせないようにしていた。あの動きをされると、中谷選手としてはモーションの少ない素早いパンチしか打てなくなってしまいますよね」
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――チャンスがあったら打ち終わりに大きなパンチを打ちたかったけど、そのチャンスを与えてもらえなかった、と。
「そうですね。井上選手が大きな左を出させないポジション取りと動きをして、しっかり下準備をしていた。中谷選手としても、あの動きを見たら、左フックや左のオーバーハンドを打っても仕方ないですから」
中谷の戦術は“ベストの選択”だったのか?
――中谷選手は8ラウンドから前に出る戦術に切り替えましたが、あの時点でポイントではかなり厳しい展開となっていました。
「もう1、2ラウンド、前に出るのが早くてもよかったかなとも思います。どこかでやるしかないって覚悟を決めなきゃいけない。でも難しいですよね。それこそ本当に11ラウンドみたいになるのが早くなるだけかもしれない。あれが良いタイミングだったし、ベストの選択だったかもしれません」
――中谷選手は距離を潰した接近戦に手応えはあったと思いますか?【後編につづく】

