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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「判定勝ちは無理。もっと攻めろ!」中谷潤人と名参謀の“打倒イノウエ”幻プランはなぜ実現しなかった? 敗戦当日の深夜、トレーナーが明かした“誤算”
text by

曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2026/05/05 11:03
前に出た試合後半、井上尚弥のパンチを被弾する中谷潤人
しかし、序盤の4ポイント差はあまりにも大きい。ダウンがなければ、1ラウンドに1ポイントしか詰められないのがボクシングという競技の性質だ。中谷はあの井上を相手に、残りのラウンドの大半を取らなければいけない計算になる。中谷がはっきりとペースを握ることができたのは8ラウンド以降だった。本来であれば、5ラウンドや6ラウンドから勝負をかけにいくはずだったのではないか。そんな問いかけに「Well, yeah」と応じたルディは、こう証言した。
「7ラウンドか8ラウンドが始まる前のインターバルで、ジュントに言ったよ。『KOを狙わなければ勝てないぞ。判定勝ちは無理だ。だから、もっと積極的に攻めろ』と」
結果的に10ラウンドまでは判定勝利の可能性をつないでいた中谷だったが、ポイント的により競った状態で最終盤を迎えられていれば、結果は違ったのかもしれない。それをさせなかった井上の能力が優れていたことは大前提だが、中谷陣営の最大の誤算は“学習”を終えたあとの中盤にあった。
「ジュントにはイノウエを倒す力がある」
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ルディは「ジュントは世界最高のボクサーと戦ったんだ。他の誰かではなく」と愛弟子を称えた。「仮に再戦が実現したら?」――そう尋ねると、大きく目を見開いて言った。
「もし再戦したとして、ジュントが勝てなかったら私は二度とボクシングのトレーナーはしない。自分のキャリアをかけてもいい。今夜の試合のあと、本気でそう思った。たしかにイノウエはモンスターだが、ジュントには彼を倒す力があると信じている」
物語はまだ終わっていない。ルディの巨体から情熱が漏れ出していた。【前編も公開中です】

