酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平が“苦悶のケガ”鈴木誠也を心配そうに見つめ…「優しさに涙が出そう」WBC映画で描かれた2人の友情と「不振の近藤健介がもがく」舞台ウラ
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2026/05/05 11:00
WBC期間の鈴木誠也と大谷翔平。今大会を記録した映画では2人を中心に戦いが描かれている
このあたり切ないが、1歳下で日本ハムの同僚だった大谷と鈴木は、近藤をいじりつつも、励ましの声をかけていた。そこには長年トップクラスのリーグで好成績をたたき出してきたプロ同士でなければわからない、いわく言い難い心の交流があったように思う。
特別上映会にゲストとして出演していた杉谷拳士も言及したが、この映画のクライマックスはこのシーンだったかもしれない。
前回の映画と同様、試合経過を丹念に追いかけている。東京プールの試合を現場で追いかけていた筆者は、将棋でいう「感想戦」を見る思いだった。
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思えば東京プールも、初戦の台湾戦を除いて楽な試合ではなかった。韓国戦もオーストラリア戦もチェコ戦も、勝利を確信できたのは終盤になってからで、楽な試合ではなかったことを思い返す。しかしファンも関係者も、東京ドームで負けるはずはない、と思っていた。前回優勝の意識が「過信」になっていたともいえる。
ベネズエラ戦での敗退をどう捉えたか
ベネズエラとの準々決勝では、ベネズエラチームの盛り上がりが印象的に描かれていた。カメラは両チームの応援席も捉えたが、底抜けに明るいベネズエラファンと、かたずをのんで見守る日本ファンの対比が印象的で、ゲームセットまでを淡々と描いている。二宮和也の乾いた感じのナレーションも印象的だ。監督、カメラは、前回の映画と同様、三木慎太郎。選手に対する迫り方、小さな「事件」を映像に収める嗅覚の鋭さは前回と同様だった。
このWBCは稲葉浩志が歌う『タッチ』とともに思い出されるようになるだろうが、その稲葉が書き下ろした主題歌『果てなき夜を』が、エンディングを印象的なものにしている。
上映後、ゲストとして壇上に上がった杉谷は、こう切り出した。
「鈴木誠也選手は、スライディングした瞬間にもうダメだと思ったみたいで、アウトかセーフかのコールよりも、ベース上で、うわ、またやってしまった、日本の皆さんに迷惑をかけてしまったなと思ったみたいです。そういう責任感の強いところが大好きです」
大谷と誠也の交流を…優しさに涙が出そうに
大谷と鈴木の交流のシーンについても、こう話している。

