酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平が“苦悶のケガ”鈴木誠也を心配そうに見つめ…「優しさに涙が出そう」WBC映画で描かれた2人の友情と「不振の近藤健介がもがく」舞台ウラ
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2026/05/05 11:00
WBC期間の鈴木誠也と大谷翔平。今大会を記録した映画では2人を中心に戦いが描かれている
さまざまなエピソードも、栄光の瞬間へ向けた「助走」とみることが出来た。佐々木朗希が準決勝のメキシコ戦で先発して打ち込まれ、ベンチで涙するシーンも、ポジティブに受け止めることが出来た。思えば、佐々木の今の苦闘は、あのときの涙から始まっていたのだと思う。
最後のシーンは、僚友マイク・トラウトを三振に切って取った大谷が、グラブを宙高く投げ上げるシーン、大谷の「俺のグラブどこ?」という声で終わるのだ。これ以上、かっこいいフィニッシュはないだろうと思う。とにかく〈幸せな映画〉だったといえる。
ダルビッシュが施していた“ピッチクロックの実践”
しかし今回は、WBC史上最低の「ベスト8」での敗退。幸せな映画でないことは、最初から分かっている。そんな終末へ向けて、どんなストーリーが流れていくのか?
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映像は前作同様、井端弘和監督によるチーム作りの様子からストーリーが始まる。ただ栗山英樹監督のチーム作りに比べるとあっさりしていた。
そして宮崎キャンプ、今回はあまり報道されなかったが、侍ジャパンに合流したダルビッシュ有が選手たちにアドバイスをした。この映画にも少し出てくるが、弾道測定器「トラックマン」野球部門責任者の星川太輔さんは、前回に続き今回も侍ジャパンに同行したが、ダルビッシュの選手に対する献身的なサポートは、感動ものだったようだ。
ダルビッシュは映画でも「ピッチクロック」への対応について、極めて具体的で実践的なアドバイスをしている。じつは、今回のWBCは投手も打者もピッチクロックに苦しめられていた。そのことにも触れられている。
大谷と鈴木、不調の近藤の交流
映画の中心にはやはり大谷翔平がいた。
今回は、故障で2023年大会に出場できなかった同学年の鈴木誠也との交友がストーリーの中心になっている。2人の若い時代の画像も流れたが、改めて2人の体が巨大化していることを思い知った。特に今回の大谷は、2023年と比べても明らかに大きくなっている。カメラのレンズを通してでも「ごつさ」が伝わってくる。
前回は、26打数9安打5打点、打率.346,OPS1.115と大活躍した近藤健介だが、今回は14打席無安打1四球と絶不調に陥り、ベスト8での敗退の一因となった。
映画では近藤が打撃不振から這い上がろうとしてもがくシーンも描いている。

