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長谷川穂積が称賛「ちゃんとボクサーになった試合」那須川天心の何が“変わった”のか?「あれが一番効くんです」エストラーダを苦しめた“あるパンチ” 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byNaoki Fukuda

posted2026/04/17 17:00

長谷川穂積が称賛「ちゃんとボクサーになった試合」那須川天心の何が“変わった”のか?「あれが一番効くんです」エストラーダを苦しめた“あるパンチ”<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

強豪エストラーダに9回終了TKOで勝利した那須川天心。長谷川穂積氏の目にその成長はどう映ったのか

「めちゃくちゃ効いたと思う」あるパンチとは?

 ジャブに加え、エストラーダを終始苦しめたパンチが左ボディアッパーだ。長谷川さんは「一番の武器になった」と左ボディアッパーを絶賛した。

「相手のパンチを外して打てるし、相手のパンチと一緒のタイミングでも打てるし、サイドに動いても打てる。そしてしっかりわき腹に突き刺すように打っていた。普通、サウスポーはあんなに左ボディを打てないんですよ。サウスポーがボディを打つのってけっこう怖いんです。特に左ボディは。顔ががら空きになりますから。あれだけ打っていったのはよほど自信があったんでしょう」

 左ボディアッパーの中でも長谷川さんが注目したのは6回、バッティングが起きて試合が一時中断したときのパンチだ。

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「あれが一番効くんです。エストラーダはめちゃくちゃ効いたと思いますよ。相手が右を打つと同時に、頭を内側にずらしながら打つパンチです。これはけっこうな高等技術で難しい。しっかり避けてから打つのが一番簡単です。サイドに動いて打つのもまあできる。でも一緒に打つのは勇気がいるし、タイミングを合わせるのも難しい。あれができるのは彼のセンスでしょう」

 このような技術を駆使しながら、那須川は気持ちを前面に押し出し、終始攻撃的な姿勢を貫いた。

「打たれたら打ち返して、相手が打ってこなければこちらから打つ。近距離の打ち合いでも負けていませんでした。リターンを必ず返していました。あれは相手からしたら嫌なんですよ。近い距離で打ち合うときは、ボクサーって最後は自分が打って終わりたいんです」

 長谷川さんは冒頭で「ちゃんとボクサーになった」と表現したが、持ち前のトリッキーさを失ったわけではない。終盤に見せた右アッパーはまさに那須川らしいパンチだった。

「ジャブを打って動いてアッパー。天心選手ならではの動きでした。前もああいう動きはやっていたんですけど、どこか『オレ、こんなこともできるんだぜ』というパフォーマンスのように感じないこともなかった。それが今回はボクシングの動きができているのでしっかり攻撃になっていた。パフォーマンスではまったくない。天心選手のボクシング、すごく面白くなったと感じました」

【次ページ】 葛藤、覚悟…ボクシングに表れた“内面の変化”

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