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「あの仏頂面だった松山英樹が…取材拒否したマキロイが…」マスターズ優勝で人が変わった? 2人からにじみ出る“王者の品格”「甘い誘惑にも負けなかった」
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舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byJared C. Tilton/Getty Images
posted2026/04/14 11:04
15度目のマスターズは12位タイに終わった松山英樹
松山は2013年だけは出場を逃したが、2014年大会ではプロとして挑む初めてのマスターズを迎えた。しかし、記念すべきプロデビュー戦は、彼にとって唯一のマスターズ予選落ちとなった。
その後の松山は、毎年4日間を戦い、トップ10入りもやってのけたが、勝利を挙げることはできないまま、歳月が流れていった。そして、ついに初優勝を挙げたのが、2021年マスターズだった。一方で、その2021年は、マキロイがマスターズで初めて予選落ちを喫した忘れがたい年となった。
マキロイは翌2022年大会で優勝争いを演じたが、またしても勝利を逃し、2位になった。そこから先は2年連続予選落ち。「もうマキロイはマスターズでは勝てないのでは?」と囁かれ始めた。
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そんな巷の見方を覆し、マキロイが悲願のマスターズ初制覇とキャリアグランドスラムを達成したのが昨年のこと。そして今年は、史上4人目となる連覇を果たした。
“甘い誘惑”にも負けない
こうして振り返ると、マキロイも松山も、オーガスタ・ナショナルで苦節を乗り越え、長い歳月を過ごしてきたことが見て取れる。
もう一度繰り返すと、マキロイは今年が18年連続18度目、松山は13年連続15度目の出場で、これだけ長くマスターズに出続け、勝利を狙えるレベルに身を置き続け、実際に勝ち、マスターズでも他の大会でもトップレベルを維持して生き残っていることは、「すごいことだ」と、あらためて思う。
生き残っていなければ、チャンスは巡って来ず、勝利を掴むことはできないのだから、こうして長きにわたって世界のトップレベルの世界に生き続けているマキロイと松山は、それだけで「すごい」と言っていい。
しかし2人は、サバイバルなすごさにマスターズ優勝という栄冠をプラスし、マキロイはマスターズ連覇というさらなる偉業もプラスした。
さらに言えば、2人は高額な契約金をオファーしたリブゴルフからの甘い誘惑に負けることなく、PGAツアーに居続けていることも「すごい」。
過去のマスターズ覇者では、フィル・ミケルソンを筆頭に、チャール・シュワーツェル、バッバ・ワトソン、セルジオ・ガルシア、ダスティン・ジョンソン、ジョン・ラームがPGAツアーから離れ、リブゴルフへ移籍した。パトリック・リードは、リブゴルフに移籍した後、今度はPGAツアーに戻る意思を示し、流浪のキャリアを歩んでいる。
だが、マキロイと松山の歩み方は、ただの一度もぶれたことがなく、しっかりと根を張って生き続けている。
そして、世の中には「立場は人を育てる」というフレーズがあるが、グリーンジャケットを羽織った後のマキロイと松山は、どちらも「マスターズ・チャンピオンにふさわしい人間」として、自ずと成長しつつあると思わずにはいられない。


