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甲子園の風BACK NUMBER
“170cm67kg”フィジカル重視の中で…異端のエースが甲子園優勝経験校を幻惑「2連続完投勝利してこそ」龍頭汰樹へ神村学園監督からの“注文”とは
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間淳Jun Aida
photograph byJIJI PRESS
posted2026/04/11 17:00
プロアマ問わずフィジカル重視の傾向にある日本球界の中で、170センチ67キロの神村学園エース龍頭汰樹が見せた投球とは
「龍頭さんは3ボールになっても四球を出さないコントロールがあります。3ボールから、どの球種も要求できます。ストレートは130キロ台なので全国的に見ると速くないかもしれませんが、打者に的を絞らせなければ、そのストレートを速く感じさせることができます」
龍頭には抜群の制球力があるからこそ、配球次第で相手を抑えられる。智弁学園戦で光ったのは、高めのスライダーだった。初戦で3安打を放った智弁学園打線のキーマンの1人、1番・角谷哲人捕手の第一打席。神村学園バッテリーは、フルカウントから真ん中高めのスライダーで一邪飛に打ち取った。3番・太田蓮選手には外角低めいっぱいのスライダーで追い込んだ後、内角高めのスライダーを見せる。そして、同じコースと高さへの速球で空振り三振に仕留めた。
中学時代は野手だったのに…なぜ?
神村学園のバッテリーは、智弁学園打線の打ち気も上手く利用した。3回までは打者10人に対して無安打。球数24球で9つのアウトを重ねた。試合後、川本が明かす。
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「智弁学園は横浜と違って、どんどんスイングする打線だと事前に把握していました。ややボールゾーンでも強いスイングをかけてきます。ストライクゾーンの甘い球は危ないので、高低と内外を広く使う意識でリードしました」
龍頭は走者を背負っても、コントロールを乱さない。圧巻だったのは、同点で迎えた9回表。先頭打者に安打を許し、味方の失策も重なって三塁まで進塁された。絶体絶命のピンチを招いたが、3つの球種を高低、内外角に投げ分けて無失点で切り抜けた。
実は、龍頭も川本も中学時代は野手だった。龍頭は神村学園入学後、遊撃手をしていたが、1年秋に投手転向を小田大介監督に直訴した。
「内野手よりも自信があった投手で勝負したいと思いました。中学の頃からコントロールは自信がありました。キャッチボールから1球も無駄にしないように心がけ、相手の右肩に向かって投げる意識を徹底してきました」
1球の大切さ、1球の重みがよく分かりました
小田監督は龍頭の意思を尊重し、投手に専念させた。
「本人がやりたいと言ってきたら、やらせてみるのが指導者です。合っていないと感じたら止めることもありますが、龍頭はコントロールが良かったですから」
長年の指導経験から、龍頭が化ける可能性を感じていた。
一方、川本は元々、打力を武器とする外野手だった。

