フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
鍵山優真とマリニンのハグ「ユマは特別」「勝敗じゃなくて、友情がもっと伝わればいいな」“Z世代の選手たち”はスケート界をどう変えているのか?
posted2026/04/09 17:00
世界選手権で2位となり、優勝したマリニンと抱き合った鍵山優真
text by

田村明子Akiko Tamura
photograph by
AFLO
プラハ世界選手権で、SP6位から総合2位となり、4度目の銀メダルを手にした鍵山優真。フリーでは自分でも満点をつけられるという会心の演技を見せて、長かったシーズンを終えた。
「ひやひやしましたよね。すみません」
ローリー・ニコル振付のSP「I Wish」では、4+3トウループ、4サルコウと完璧な着氷をしたものの、アクセルのテイクオフのエッジが抜けて転倒し、予想外の6位スタートになった。ミックスゾーンに現れた鍵山は記者たちに向かって「ひやひやしましたよね。すみません」と苦笑した。シニアになって6年目。22歳にしてベテランの風格がある。
アクセルは、何が起きたのか。
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「これは自分で解決できたことなので、決して言い訳で終わらせたくはないんですけど」と前置きして、鍵山はこう説明した。
「最終グループなので、いろんな人のエッジの跡だったり、トウの跡がたくさんついているので、そこに(靴の)エッジが持っていかれてしまって」
その瞬間、走馬灯のような、スローモーションのような感覚に見舞われた、と苦笑する。わずか6週間前にはミラノ・コルティナオリンピックの団体戦、個人戦で銀を獲得し、休む間もなくこのプラハにやってきた。
会場全体の観客が立ち上がり…
2日後のフリーは、最終グループの1番滑走となった。ローリー・ニコルがオリンピックシーズン用に振付けた入魂のプログラム「トゥーランドット」は、これまで多くのスケーターに使用されたそれではない。プッチーニが未完に終えたラストの部分を、ワシントン歌劇団の依頼によって仕上げた作曲家クリストファー・ティンが、鍵山のプログラム用にアレンジしたという彼だけの特別な作品だ。
まるで3回転のように軽々と降りてみせた4サルコウから演技を開始。4+3トウループ、3ルッツ、3アクセル+1オイラー+3サルコウと、スピードを保ちながらジャンプを次々成功させていった。後半で4トウループ、さらに3フリップ+3ループという珍しいコンビネーションを成功させ、最後の3アクセルもきれいに決まると、着氷しながらガッツポーズをとった。「ネッスンドルマ」のメロディに合わせてイナバウアー、最後のスピンの頃には会場全体の観客が立ち上がった。総スタンディングオベーションに包まれ、鍵山は嬉しそうに四方に挨拶をし、跳び上がるようにして拳を振り上げた。

