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「新しい感情を手に入れた」那須川天心が明かす“格闘キャリア初の敗北”…心に響いたトレーナーの言葉「ボクシングは宇宙」次戦テーマは「井上拓真戦の反面教師」
posted2026/04/05 17:00
井上拓真とのWBC世界バンタム級王座決定戦で格闘キャリア初の敗北を喫した那須川天心。敗戦後の心境や変化を明かした
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Ichisei Hiramatsu
格闘キャリア初の敗戦
那須川天心に「切り替える」「吹っ切れる」はない。
失敗をちゃんと背負って今を歩んでいる。
昨年11月、井上拓真とのWBC世界バンタム級王座決定戦に0-3判定で敗れた。キックボクシング42戦、総合格闘技7戦、そしてボクシング転向後も7連勝して世界王座に挑んだが、無敗の格闘キャリアに初めて土がついた。
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新王者を称え、リング上で正座してファンに詫び、試合後の一人になった控室では涙を流した。翌日には冠ラジオ番組に出演して「めちゃめちゃ悔しいです」とリスナーに本音を打ち明けた。初めての敗北に打ちひしがれながらも、「発見」が続いた。
「新しい感情を手に入れたという感じなんです。ずっと心にあるものを、別に嫌だとか、切り離したいだとかもない。受け入れて一緒に持っていくだけなので」
無論、晴れやかではない。ジメジメした感情も、胸のうちから排除しない。敢えて一人になる時間もつくって、自分の心と向き合ってきた。
拓真戦の映像は「今までで一番見たかもしれない」。どうしても気になったところがあった。
那須川が明かす。
「全部のラウンドを見るというわけじゃなくて、2ラウンドから3ラウンド目に移って何があったか、何が起こったか。一つ言えるとしたら、自分が一瞬、迷ったんですよね。迷う、考える。それってイコール、考えさせられるとなると、相手に合わせることになってしまう。これまでの試合は自分がペースをつくって相手がどうしようってなったところにカウンターを合わせていくスタイルだったのが、逆になってしまった。そこから(自分のペースに)変えられなかったところが敗因だなと思っています」
なぜ流れを変えられなかったのか
1、2ラウンドは那須川のペースであった。
12センチのリーチ差とスピードを活かし、1ラウンド残り10秒を切ったところで踏み込んでの左オーバーハンドを顔面にヒットさせ、2ラウンドには左アッパーから右フックを見舞っている。しかし3ラウンドに入ると拓真がプレッシャーを強めてきた。拓真の丁寧な出入りに思考回路が狂わされ、自分のパンチが思うように当たらない。考えさせられて手数が減り、逆に拓真の攻勢を受けてしまうという展開が続いた。流れを変えられないまま、12ラウンド終了のゴングを聞いた。
なぜ変えられなかったのか――。



