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「第3打席こそ大勝負だった」なぜ韓国リーグ出身左腕は大谷翔平から三振を奪えたのか? WBC優勝ベネズエラ“無名ブルペン”の秘密「あの三振が流れを変えた」
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byDaisuke Sugiura
posted2026/03/21 06:00
大谷翔平を空振り三振に仕留めるなど、WBC優勝に大きく貢献したエンマヌエル・デヘスス(左)。ケガで辞退しながらもチームに同行したエース、パブロ・ロペス(右)
今年2月にトミー・ジョン手術を受けたために今大会の出場が不可能になったものの、右腕にサポーターを装着してチームに同行した30歳の右腕が真っ先に挙げたのは、とにかく「日本打線に的を絞らせない」ことの大切さだった。
「ブルペンは本当に素晴らしい仕事をしてくれたと思う。日本に対して、特に有効な球種とか、何か抑えるための秘密があったわけではもちろんない。大事だったのは配球の組み立て、同じパターンにはまらないこと、上質な球を1球ずつしっかりと投げ続けること。日本は信じられないほど規律があり、すごくプロフェッショナルな集団だ。素晴らしい“センパイたち”だ。単調になったら一丸となって攻めてくるから、同じ攻め方を続けるわけにはいかなかった」
ベテラン捕手ペレスの存在
実際に準々決勝でのベネズエラは左の投手を3人、右の投手を4人と使い分け、さらに3イニング以上投げた投手はゼロと上手に目先を変え続けた。先発スアレスの序盤KOは誤算としても、ロペスの言葉を聞く限り、もともと長いイニングを投げさせるつもりはなかったようだ。
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リリーバーたちが奪った8つの三振の決め球の内訳を見ても、4シーム、カッター、2シームが2球、スライダー、チェンジアップが1球ずつと偏ることがない。それぞれの投手たちがそれぞれの決め球を丁寧に使い、日本の打者たちを追い込んでいった。そして、その力を引き出すためには上質な捕手の力が必須だった。ロイヤルズ一筋、メジャーキャリア15年のペレスこそがベネズエラの信頼を集めるキャプテン。文字通り、百戦錬磨の大黒柱は日本戦でも冷静なリードで投手陣を導き続けた。
「サルバドール(・ペレス)がホームプレートの後ろでやってくれた仕事は完璧だった。ブルペンの扱い方、投手たちが試合のスピードに飲み込まれないようにすること、しっかりと良い球を投げることにコミットさせること、ゾーン内でアグレッシブに投げさせること――そのすべてをコントロールしてくれた。投手たちが常にベストの球を投げられるようにする上で、本当に大きな、大きな役割を果たしたと思う」
このロペスの言葉を大会終了後、日本戦で3番手を務めたデヘススに伝えると、29歳の左腕投手は大きく目を見開いて同意した。昨季まで韓国リーグ(今季から米タイガースとマイナー契約)でプレーしていた苦労人にとって、メジャーの打者たちを熟知する女房役は本当に頼もしい存在だったのだという。
「サルバドールは非常に勉強熱心で、相手チームの打者をしっかり研究している。(決勝戦前の)ミーティングでも、アメリカの全打者についてすべて把握していた。そういった知識は、投手陣をうまくリードする上でとても重要なんだ」


