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WBC早すぎる敗退…侍ジャパン“投手継投のナゾ”「なぜ山本由伸を替えた?」「伊藤大海の起用法は…」じつはアクシデント続きだった投手陣の“体調不良” 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2026/03/17 17:30

WBC早すぎる敗退…侍ジャパン“投手継投のナゾ”「なぜ山本由伸を替えた?」「伊藤大海の起用法は…」じつはアクシデント続きだった投手陣の“体調不良”<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

WBCベネズエラ戦で先発した山本由伸(左)と4番手として登板した伊藤大海。侍ジャパンは投手継投がうまく機能せず準々決勝で敗退した

論点2:隅田知一郎を2番手に起用した理由

 準々決勝を前に、日本代表のアナリストはベネズエラ打線を徹底分析していた。その結果「横ではなく縦と奥行きの変化が有効」(吉見一起投手コーチ)という結論が出ていたのだ。その視点から選択すれば、右の山本の後に目先を変えていくためにも左腕を使うなら横の変化が中心の宮城大弥投手(オリックス)よりも、フォークの縦とチェンジアップの奥行きを武器に使える隅田が、ベネズエラ打線には有効という選択だった。

 隅田はキャンプ直前の石井大智投手(阪神)の出場辞退で代替え招集された左腕だが、決め球のチェンジアップは国際試合で大きな武器になると井端監督が早くから目をつけていた投手だった。実際に1次ラウンドのオーストラリア戦では、3回で7つの三振を奪うなどパワー系のオーストラリア打者を翻弄する好投も見せていた。

 この隅田という判断は決して間違いではなかったのだが、2番手で送り出したマウンドの隅田の様子が少しいつもとは違っていた。

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 いきなり投球練習の初球がバックネットを直撃するなど、試合の雰囲気に飲まれてしまっていたのかもしれない。先頭打者に四球を出すと、1死から2番のM・ガルシア内野手(カンザスシティ・ロイヤルズ)に左中間への2ランを浴びてしまった。

 打たれたのは150kmの高めのストレート。宮崎キャンプでチームのアドバイザーを務めたダルビッシュ有投手(サンディエゴ・パドレス)のこんな助言がある。

「高めのストレートは有効だが、日本で投げているよりボール1つ、2つ高めに投げられないと逆に危険な球になる」

 そのわずかな高さの違いをメジャーリーガ―は逃さなかった。

「あの1球が全てだったかと思います」

 隅田は振り返った。

論点3:試合を決定づけた伊藤大海の投球

 そして試合を決定づけたのは、井端監督が4番手に送り出した伊藤大海投手(日本ハム)の投球だった。

 前回大会でも様々なピンチの場面で日本を救ってきた右腕は、昨シーズンは2年連続の14勝をマークして沢村賞にも輝いた。NPB組のエース格として指揮官が頼りにしていた投手だった。

「ブルペンでの調子は決して悪くはなかった」

 こう語るのは吉見コーチだ。

 しかし伊藤がマウンドに上がると、ローンデポ・パークの電光掲示板には驚きの数字が表示された。真っ直ぐの球速表示が90マイル前後。キロ表示にすると145km前後で、150km台のストレートは1度も出なかった。この球威では、真っ直ぐでベネズエラ打線を押し込むことはできなかった。

【次ページ】 論点4:投手の台所事情とアクシデント

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