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「俺が全部訳す。何かあったら俺のほうを見ろ」25歳大塚達宣がセリエA初先発の19歳大学生に贈った熱い言葉「本当にお兄ちゃんみたいな存在」 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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posted2026/03/13 11:03

「俺が全部訳す。何かあったら俺のほうを見ろ」25歳大塚達宣がセリエA初先発の19歳大学生に贈った熱い言葉「本当にお兄ちゃんみたいな存在」<Number Web> photograph by Getty Images

ミラノで2年目のシーズンもいよいよ終盤。プレーオフではヴェローナとの1stレグを落としたが、準決勝進出に向けて奮闘する日々が続く

 2月に入り、大塚は後衛での守備のみの出場から徐々に出場時間を増やし、レギュラーシーズン最終戦となった2月25日のクネオ戦で先発復帰し勝利に貢献した。7位で進出したプレーオフに向け、大塚の復帰はチームにとって大きな光明となった。

 今季ミラノに加入したブラジル代表セッターのフェルナンド・クレリングは大塚についてこう語る。

「彼の内面には強いリーダーシップがあって、彼は毎日、チームにポジティブなエネルギーをもたらしてくれるし、いつもハードワークしている。彼と一緒にプレーするのは本当に楽しいよ」

「達宣さんはイタリア語ペラペラです」

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 大塚がチームのリーダーとして認められているのは、攻守に安定感が光るプレーだけでなく、コミュニケーション力のおかげでもある。昨季は、言葉で100%伝えきれない分を、大きなジェスチャーや表情、そして人柄で補っていたが、今季はもう自分の思いをストレスなく、周りにイタリア語で伝えられている。驚異的な言語習得能力だ。

 イタリア語を勉強し始めたのは、昨季ミラノに来てから。英語はある程度理解できたが、チーム内ではイタリア語が使われることが多かったため懸命に勉強した。チームメイトから新しい単語を教わるたびに、ノートにイタリア語、英語、日本語を三列に書き加えて覚えた。シーズン後の日本代表期間も、単語帳を買ってコツコツと使える単語を増やし、2シーズン目に臨んだ。

 シーズン途中の昨年12月末にミラノに加入した専修大学1年のマサジェディ翔蓮(かれん)が、「英語とイタリア語のどちらを勉強すべきですか?」と聞くと、大塚はこうアドバイスしたという。

「俺はイタリア語を薦める。バレー界の第一言語はイタリア語なんじゃないかと思うから。基本的にトップ選手はみんなイタリア語を話せるし、(日本代表監督のロラン・)ティリさんともイタリア語で話しているし」

 マサジェディは、「もう達宣さんはイタリア語ペラペラです。すごいですよ」と驚く。

 そのマサジェディに対して大塚は、「体育館内では、僕はあえてあまり近くにいないようにしている」という。

「最初は監督からの指示などを僕が伝えていました。彼も登録メンバーで、試合に出るチャンスがある以上は、チームのルールやシステムはちゃんと伝えて理解してもらわないと、違う動きをされたら困るので。でもその割合をどんどん減らしています。

 せっかくこっちに来てやっているんだから、やっぱり日本語に頼りたくないので。今季のケースは別ですけど、僕は日本人が同じチームに2人以上いながらシーズンを丸々戦うということをあまり望んでいません。彼も『こうして来ている以上、僕は達宣さんに頼っていたら意味がない』と言っているので」

 突き放しているようにも聞こえるかもしれないが、もちろんお互いの成長のため。

 それでも、大塚はやはり放っておけない性分のようだ。マサジェディはこう言う。

【次ページ】 マサジェディを放っておけない大塚

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