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「最も美しい光景の一つだ」冬季五輪“ブラジル史上初の金メダル”級に同国記者が感動したのは…「アリサ・リュウと中井亜美のハグ」だった 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byAsami Enomoto/JMPA

posted2026/03/01 06:01

「最も美しい光景の一つだ」冬季五輪“ブラジル史上初の金メダル”級に同国記者が感動したのは…「アリサ・リュウと中井亜美のハグ」だった<Number Web> photograph by Asami Enomoto/JMPA

女子フィギュアでメダルを獲得した(左から)坂本花織、アリサ・リュウ、中井亜美。ブラジル人記者も感動したという

――ちょうどブラジルでカーニバルが行なわれていた時期に、彼はゲレンデの上でサンバを踊ってみせた。メダル授与式では、派手なガッツポーズを繰り出し、ブラジル国歌を聞いて嬉し涙を流した。

「ノルウェーとの二重国籍だけど、ブラジル人選手らしさ満開。我々も誇らしかった」

――ブラジルは1992年大会から冬季五輪に参加しており、10回目の大会にして掴んだ悲願のメダルだった。

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「そう。まさに、歴史的快挙だった」

――ところが、2つ目の金メダルを期待された2日後の回転競技では1本目で棄権してしまった。

「前半は非常に良い滑りをしていたんだけど、転倒してしまった。競技終了後、本人に話を聞いたら、『とても強い雪が降っていて、視界が限られていた。自然の中でやる競技だから、こんなこともある』と悔しさを滲ませていた」

ロナウジーニョ好きのオスロ生まれ…なぜブラジル代表に

――ブラーテンはオスロ生まれだが、3歳の時に両親が離婚。幼少期には母とともにブラジル・カンピナス市に移住した。父親のいるノルウェー帰国後は毎年、学校が休暇の間はブラジルへ戻っていたそうですね。

「ロナウジーニョの大ファンで、幼い頃はフットボールの選手になりたかったそうだ」

――9歳の時に父親の勧めでスキーを始め、次第に熱中した。ジュニアの大会で好成績を残し、ノルウェー代表に選ばれて2022年の北京五輪の大回転と回転に出場したが、結果はいずれも棄権。彼がスポーツ上の国籍をノルウェーからブラジルへ変更した理由は?

「ノルウェー協会からブラジルへの愛着を示す言動を禁じられたり、ノルウェー協会の公式スポンサー以外の企業と個人的に契約を結ぶことを認められないといった軋轢があり、2023年に一度は引退を表明した。しかし、父親から『ブラジル協会所属の選手としてキャリアを再開したらどうか』と勧められて翌年に現役復帰。ブラジル国民から熱い期待を受けて発奮し、以前よりも良い成績を残すようになった」

――今回の金メダル獲得で、彼はかつてのペレやアイルトン・セナのようなブラジルの国民的英雄になったと思いますか?

「さすがに、まだそこまでではないかな。でも、多くの国民に知られる存在となった。今後、さらに偉大な選手となって、後に続く若手に勇気と希望を与えてもらいたい」

“冬季競技はお金がかかる”問題…日本もそうだよね

――話題を少し変えて、ウインタースポーツという競技の特殊性についても聞かせてください。用具が高価で練習場所を借りる費用も必要であり、先進国でもトップ選手を目指せる者は限られている。日本でも、選手とその家族にかかる経済的負担は大きい。

【次ページ】 日本でも“りくりゅう”が援助を得ていたが

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