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「えっ、みんな同じ髪型なの…それクレイジーじゃない?」関菜々巳がイタリア同僚に驚かれた女子バレー部“暗黙のルール”「当時はおかしいと言えなかった」 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byTakahisa Hirano

posted2026/02/26 11:04

「えっ、みんな同じ髪型なの…それクレイジーじゃない?」関菜々巳がイタリア同僚に驚かれた女子バレー部“暗黙のルール”「当時はおかしいと言えなかった」<Number Web> photograph by Takahisa Hirano

イタリアに来て2シーズン目を過ごす関菜々巳(26歳)。今季はブスト・アルシーツィオでプレーし、プレーオフ進出に貢献している

 部活動がメインの日本とは異なり、イタリアの高校生たちはセリエAの各クラブがもつアンダーカテゴリーのクラブでプレーする。トップチームの練習前後に同じ体育館で練習するのも当たり前だという。そんな環境を目の当たりにした関は「日本とは180度違う」と驚いた。

「言葉を選ばず言いますが、イタリアのアンダーチームを見ているとヘタクソな子も多いんです。それに比べて日本の高校生はめちゃくちゃ上手。でも、イタリアの子たちはここからどんどんうまくなるのに対して、日本では高校を卒業したら『やりきった』と燃え尽きてしまう子も多い。私もそうだったので、すごくよくわかります。もしもあの頃、イタリアの同世代の子たちのようにのびのびと楽しそうにできる環境があったら、その先はどうなっていたんだろう、と想像することもある。日本の高校で厳しく指導されたからうまくなれたことも、できるようになったこともたくさんあるから、悪いことばかりじゃないけど、『こうしなければいけない』と生真面目に考えすぎてしまうクセはつかなかったかもしれないし、性格も違ったかもしれない。そうやって生きて来た先の未来も見たかったな、って。イタリアに来たからこそ考えるようになりました」

心のエネルギーを保つ方法

 関だけでなく日本代表キャプテンの石川真佑、リベロ小島満菜美、さらには19歳の秋本美空が海外に渡ったことで、プレーだけでなく意識も含めた“当たり前”の概念が変わった。

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 コートに立つ選手たちは思い思いの髪色や色とりどりのネイルを施し、明るく、のびのびとプレーしながら世界の強豪と渡り合った。そんな日本代表の変化に触れ、取材した高校生たちは自然と「自分たちもあんな風になりたい」と憧れを口にしていた。その言葉を関に伝えるとホッとした表情で喜んだ。

「日本の女子バレーが楽しそうと言ってくれるのは嬉しいし、私は全然地味ですけど、髪色とかネイルとか、それぞれの個性をすごくプラスにとらえてくれるのが嬉しい。私もずっと、バレーボール選手なんだからバレーボールだけに集中しなきゃダメと思っていたけど、イタリアにいる選手たちはオシャレも勉強も、どこにそんなエネルギーがあるの? というぐらい行動的で、バレーボール以外にもいろんな楽しみを持っています。だから、たとえバレーボールがうまくいかなくても心のエネルギーが保てる。私もそういう選手になりたいし、日本のバレーも前向きに変わり始めていると感じるので、自分のためにも、これからの世代の子たちにも、そういう未来がつながっているといいな、ってすごく思います」

 そもそも高校時代は、自分が日本を飛び出して生活するなんて考えもしなかった。紛れもない転機を得たからこそ、26歳の今は何事も前向きに考えることができるようになった。

【次ページ】 窮屈にバレーボールをしていた昔の自分

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