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「200%やり切って…」友野一希(27歳)ミラノ・コルティナ五輪出場を逃すも現役続行を決めたワケ「オリンピックだけじゃないと自分に言い聞かせながら」
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野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto
posted2026/02/04 17:00
全日本選手権で6位に終わりミラノ・コルティナ五輪への出場は叶わなかったが、現役続行を決めた友野一希(27歳)のインタビュー
「逆に、感情を出していくのも大事だなって思いました。今まで自分は『感情をコントロールしよう』という気持ちが強くて、常に落ち着いてる振りをして、感情を表に出すのは良くないという考えがありました。自分の中にある負の感情を丸めこんで『仕方ない』ってずっと思ってたんです。そうじゃなくて、感情を出すのもすごく大事なんだなって。悔しい時は本気で泣いたら良いし、本気でぶつけることもあってもいい。そういう爆発力も大切なんだなっていうのを、この年齢で学べたと思います」
スケートアメリカ後は、かつてないほど落ち込むことで、再び立ち上がった。
「今までの中でも悔しさを一番放出することができて、だから全日本はそのリベンジという気持ちがあったんです。苦しさを乗り越えて、また練習に取り組むことができたことが、『また強くなれた』と思えましたし、今後何かあっても、思い出して頑張れるなという気がしました」
全日本選手権「全く後悔はありません」
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そして迎えた全日本選手権。ショートは4位発進と、表彰台圏内につけた。しかしフリーは歯車が噛み合わず7位、総合では229.74点で6位となった。
「『これは全日本選手権なんだ』という緊張感はあるのに、自然体で臨めて、不思議な試合でした。演技の瞬間も、どれだけミスしても『最後までやり切れば何かある』と思っていましたし、全く後悔はありません。シンプルに実力だったと思いました。何かやり残したかって言われたら、本当にありませんでした」
フリーの演技後、インタビューゾーンに現れた友野は、すっきりした表情だった。わずか数分後の、悔しさを消化するにはあまりにも早いタイミングである。
「あの時ばかりは『もう気持ちが先に行ってたなあ』と思います。結果以上に、やり切ったことに対してすっきりしていました。やってきたことは嘘をつかないと思うし、そこを否定してしまうと自分を否定することになってしまう。だから、どんな結果であっても、やってきたことに自信を持って笑って終わろうということが、全日本の目標でもありました」
もちろん悔しさはあったが、やり切った気持ちで包みこんだ。
「僕自身は後悔なく過ごせていたので、『あー、やっと終わった』という気持ちだったんです。どちらかというと、僕の周りの人や応援してくださっている方に対して『一緒にオリンピック行きたかったな』っていう気持ちは今でもあります。でも自分自身が下を向いてると、周りの人に対して良くないと思うから。やり切ったっていう気持ちを大切にしていきたいと思います」
「まだ競技として続けていきたいな」
五輪代表を逃した12月末、すぐに心は固まった。現役続行である。

