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「AIを駆使しまくる棋士がいても地力は…」なぜ藤井聡太と永瀬拓矢らの角換わりは「行き着くとこまで行った」極致なのか…高見泰地がズバリ 

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大川慎太郎

大川慎太郎Shintaro Okawa

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photograph by日本将棋連盟

posted2026/02/04 06:01

「AIを駆使しまくる棋士がいても地力は…」なぜ藤井聡太と永瀬拓矢らの角換わりは「行き着くとこまで行った」極致なのか…高見泰地がズバリ<Number Web> photograph by 日本将棋連盟

永瀬拓矢が藤井聡太に挑む構図は近年の将棋界でおなじみだが……タイトル経験棋士である高見泰地はどう見ているか

「先手角換わりの極致というか、行き着くところまで行ってしまっているような指し回しでしたね。ここまで正確に指されると、とんでもなく強い藤井王将でもさすがに厳しいのかな、と。最初は永瀬九段がペースをつかんで先行したのですが、途中で難しい局面になったんです。そこから競り合いで勝たれたんですね。

 私の趣味の競馬に例えると、藤井王将を相手に序盤の研究でリードを奪って先行逃げ切りで勝つのなら理解できます。それが藤井王将に勝つ最もスタンダードな方法ですから。でも1回並ばれたのに、そこからまた前に出て勝たれたのが見事でした。伊藤二冠が藤井王将を破った王座戦もそうでしたけど、藤井王将を相手に終盤の接戦を制するのは本当に力がないとできません。永瀬さんがものすごい終盤力の持ち主であることに改めて気づかれた方も多いのではないでしょうか」

定跡を隅々まで理解しているのは“4人だけ”

――藤井王将が先手番になった第2局の見どころは?

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「戦型ですね。先手の藤井王将が角換わりに誘導して、後手の永瀬九段が受けると予想していました。この番勝負では、藤井王将が後手番でどんな作戦を用いるのかが一つの注目ですが、永瀬九段が後手の場合は角換わりを受ける気がしています。永瀬九段と言えば先手角換わりのスペシャリストですが、ということは後手番の指し方にも精通していることになります。ただ腰掛け銀ではなくて右銀を前にどんどん出していく後手早繰り銀に構えられたのは少し意外でした」

――現在の将棋界で、角換わりの後手早繰り銀はどういう情勢なのでしょうか?

「まず角換わり腰掛け銀は、永瀬九段の言葉を借りると一撃で勝負が決まってしまいます。定跡を隅々まで理解できているのは、藤井王将と永瀬九段と伊藤二冠、あとは佐々木勇気八段ぐらいではないでしょうか。その棋士たちを相手に後手番で角換わり腰掛け銀を受けるのは一番大変なことだと思っています。そういう背景があって、本局の早繰り銀は定跡でいきなりふっ飛ばされることは相当ありません。腰掛け銀よりも力勝負っぽくなるんです。ただ後手なので先手早繰り銀より1手遅れるので、簡単には先攻できない。そこがメジャーな作戦にならない理由な気がします」

AIを駆使して知識を持っている棋士がいても

――いま名前が挙がった4人の角換わりはそんなにすごいのですか。

【次ページ】 第2局、51手目が最大の勝負どころだった

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