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「記者投票が物議をかもすことも」フォーエバーヤングは年度代表馬に選ばれるのか? 歴史的名馬がズラリ…米BCクラシック制覇の“圧倒的な価値”
text by

島田明宏Akihiro Shimada
photograph byGetty Images
posted2025/12/27 11:02
BCクラシックのゴールを先頭で駆け抜けたフォーエバーヤングと坂井瑠星。日本競馬史に残る偉業を成し遂げた瞬間だった
なぜ、アメリカのダートで勝つのは難しいのか?
フォーエバーヤングより前に、アメリカ調教馬以外でBCクラシックを勝ったのは、1993年のアルカング(フランス)と、2008年のレイヴンズパス(イギリス)のみ。そのうちレイヴンズパスが勝ったときはサンタアニタパーク競馬場のオールウェザーコースだったので、ダートで勝ったのはアルカングだけだった。
勝ち馬の生産国を見ると、アメリカ以外の生産馬は、1991年のブラックタイアフェアー(アイルランド)、1998年のオーサムアゲイン(カナダ)、2006年のインヴァソール(アルゼンチン)の3頭だけで、日本産のフォーエバーヤングは4頭目だ。
日本のダートの質が「砂」なのに対し、アメリカのそれは「土」に近く、普段はクッションがよく、蹄音も静かで、芝と同じくらい速い時計が出るのだが、雨が降ると泥田のようになる。また、武豊をはじめ、世界各地で騎乗経験のある騎手が口を揃えるのは、アメリカのダートのキックバックの激しさ、人馬にとっては痛さである。日本の芝とダートはもちろん、タフさで知られるパリロンシャン競馬場の芝のキックバックよりも、大きく、硬いかたまりが次々と飛んでくるのだ。それでいて、スピード馬場でもあるので、切れ味が求められるのだから、厄介だ。
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あまりに異質なので、かつて日本の関係者には「アメリカダートアレルギー」のようなものがあった。日本調教馬で初めて海外のダート重賞を勝ったのは、2006年ゴドルフィンマイルのユートピアで、アメリカのダート重賞を初めて制したのは2008年ピーターパンステークスのカジノドライヴなのだが、これらがポツン、ポツンと結果を出しただけで、日本馬は苦戦を強いられていた。
<続く>
