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ボクシングPRESSBACK NUMBER
ボクシング堤聖也が激白「あのドネアが僕を倒しにくるんだ…ワクワクする」恐怖を超越した“高揚感”の理由「警戒すべきは左フックだけじゃない」
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2025/12/15 11:01
ノニト・ドネアとの団体内統一戦に挑むWBA世界バンタム級王者・堤聖也。レジェンドとの一戦は、世界的な評価を上げるチャンスでもある
普段は「あまりボクシングは見ない」という堤でもある程度の知識があるくらいだから、今回のタイトル戦はアメリカでも一定の興味を持たれている。その位置付けを「向こう(アメリカ)ではどうなんですかね。注目されています?」と気にしていた堤だが、関心を持たれているにしても、海外での認識はあくまで“ドネアの最後の挑戦”だ。フィリピンでもマニー・パッキャオに次ぐ存在だった老雄が、ビッグステージでもう一度輝けるかどうかが焦点になっている。
この2年間で穴口一輝、井上拓真、比嘉大吾との激闘をクリアした堤は国内ではビッグネームになったが、世界的な知名度はまだ高いとは言えない。逆に言えば、それが変わるとすればこの一戦ではないか。12勝(8KO)無敗3分の王者が“レジェンド”に好内容で勝てば、ワールドワイドな評価と関心を惹きつけることも可能。そういった意味で、堤にとってはキャリアの分岐点になりかねない一戦といえよう。
警戒すべきは“左フック”だけじゃない
勝負の行方を占う上で、ドネアのシグニチャーパンチである左フックの対策が鍵であることは周知の事実だ。堤も「もちろん左フックが警戒ポイントです」と話してはいた。その一方で、もともとは“試合巧者”としても定評があった29歳のスイッチヒッターは相手の総合力に思いを巡らせていたのも印象的だった。
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「あのパンチはドネアの総合的なボクシングスキルがある上で成立している。それだけ警戒してどうにかなる相手じゃない。右も上手いし、井上さんだって右ストレートで効かされている。経験値の差もすごく出る相手だと思うから、そこをあまり出させたくないし、もし出てきても、それを上回る勢いでいかないと。プランはいろいろ考えていますけど、タフな試合になる。精神的にも肉体的にもきつい試合になると思います」
実際にカンポスに勝つまでは井上尚弥、アレハンドロ・サンティアゴに2連敗を喫していたドネアがさらに極端に衰えていなかった場合、今戦は再びの消耗戦になる可能性が高いのだろう。もちろん衰えが進んでいることも十分に考えられるのだが、堤はあくまでピークのドネアを想像して準備するという。その想定通りなら、リング上ではまたもあの魂を削るような猛烈ファイトを見せてくれるはずだ。

