第102回箱根駅伝(2026)BACK NUMBER

「レベルがちょっと高かった…」箱根駅伝予選会が高速レースとなった要因と、出場校の対応が必須な“想定”の見直し 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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posted2025/10/27 10:00

「レベルがちょっと高かった…」箱根駅伝予選会が高速レースとなった要因と、出場校の対応が必須な“想定”の見直し<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

集団となって走る、棟方一楽(118)、中澤真大(121)ら大東文化大学の選手たち

 箱根駅伝予選会がハーフマラソンの距離で行われるようになったのは、2018年の第95回大会からだ。コロナ禍で開催された2020年の第97回大会の予選会は陸上自衛隊立川駐屯地内の平坦なコースを周回し、大粒の雨に見舞われながらも気温12度前後という長距離にうってつけの条件だったため、史上稀に見る高速レースになった。この年を除けば、今回の法大の上位10人の総合タイム10時間37分13秒(ひとり平均に換算すると1時間3分43秒)は、次点としては最速タイムとなる。気象条件に大きく左右される種目ゆえ単純比較はできないが、例年ならこの記録であればゆうに通過できた。上位でも不思議ではないタイムだ。

「大島(史也、4年)と野田(晶斗、3年)が1時間2分台、その次の花岡(慶次、4年)と平井(蒼大、3年)が1時間2分50秒から3分前半ぐらい、その次の集団は1時間4分から4分30秒で行ってくれればOKと指示を出していました」

 法大の坪田智夫監督はこんなプランを立てて予選会に臨んでいた。約2週間前に一部の選手がインフルエンザを発症するというアクシデントに見舞われたものの、選手たちはほぼ設定通りに走ってみせた。プランを遂行した選手たちは称えるべきだろう。それでも、指揮官が想定した以上にハイレベルなレースになり、法大は惜しくも本大会に届かなかった。

 法大だけでなく、12位の明治大学、13位の専修大学の総合タイムも10時間40分を切っていた。10時間40分を切って予選会で敗退したのは、前述の第97回大会の7校を除けば第100回大会で次点だった東京国際大学のみだ(第100回大会は記念大会につき13位までが本戦出場で、東国大は14位だった)。

 14位の日本薬科大学も10時間40分25秒と決して悪いタイムではなく、初めての箱根路が見えそうなところにいた。ケニア人留学生のデニス・キプルト(3年)らが、万全な状態でレースを迎えられなかったのが悔やまれる。

急がれる“想定”の見直し

 第97回大会の予選会は、今回トップ通過を果たした中央学院大学にとってターニングポイントになっていた。

「あの時期に(カーボンプレートを搭載した厚底の)シューズをうまく活用したチームが、バーンと行ったんですけど、うちはちょっと出遅れました。若い者の情報を聞き入れなきゃいけないなと大いに反省しました」

 当時をこう振り返るのは、中央学大を率いる川崎勇二監督だ。この年、6年ぶりに予選会からの出発となった中央学大は高速化の波に乗れずまさかの12位に終わり、19年ぶりに本大会出場を逃す屈辱を味わった。

 1985年にコーチに就任して以来(監督就任は1992年)一貫してこのチームを率いてきた名将をもってしても、これまでの経験や知見が通用しない現実を突きつけられた。その2年後にも予選会で敗退し、取り組みの見直しを図ったことが今回のトップ通過に繋がった。

 法大の坪田監督は、今回の結果を受けて「想定が甘かったのか……」という言葉を残した。確かに今回の予選会を経て、どの大学も予選会の水準を見直さなければならないだろう。

 今年2月の香川丸亀国際ハーフマラソンでハーフマラソンの日本記録がついに59分台に突入し、日本人学生歴代上位の記録も大幅に入れ替わった。高速化の波はますます加速するばかりだ。今回の予選会も高速化を象徴する大会だった。第97回大会の予選会に続き、多くの大学にとってターニングポイントになるかもしれない。

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