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「開幕1本目で今年はいけるぞ、と」阪神・佐藤輝明が本塁打&打点の二冠…矢野燿大元監督が語るサトテル覚醒のワケ「一生懸命、振らなくなったよね」
posted2025/10/06 17:02
阪神がリーグ優勝を決めた9月7日時点で自己最多の36本塁打。最終的に40本塁打、102打点で二冠に輝いた佐藤輝明
text by

酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph by
Takuya Sugiyama
発売中のNumber特別増刊号「阪神タイガース 最速優勝の軌跡。」に掲載の[矢野燿大が見た大砲の原点]佐藤輝明「積み重ねがあってこそ」より内容を一部抜粋してお届けします。
矢野燿大が語る佐藤輝明のキャラ
2年ぶりのリーグ優勝を決めると真っ先にマウンドに駆けだしていく。背番号8は押し寄せるナインのなかにあっという間に消えた。涙はない。佐藤輝明は誇らしげな笑みをたたえ、達成感をかみしめていた。
「いままでの積み重ねが生きて、ここまで来られた。変わるときはキッカケひとつでバンッて変わるのですが、変わるためには積み重ねというのは絶対に必要なこと」
晴れの共同会見で佐藤が発した言葉には重みがあった。プロ5年目の今季、ようやく長打力が花開いた。苦節と言っていい。新人だった2021年から昨季まで4年連続2桁本塁打を放ちながらモロさが目につく未完の大器としてくすぶってきたからだ。今年はちがう。4月中旬から4番に定着すると一気に突き抜けた。優勝を決めた9月7日時点で自己最多の36本塁打。89打点と併せてリーグ2冠で、頂点に導いた。
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先に書いた佐藤の言葉を、ある感慨のなかで聞く人がいた。ルーキーの頃からの2年間、監督として接した矢野燿大である。
「華々しくデビューしたけど打てない時期があり、守備が全然ダメだったり、二軍に落とされたこともあった。いろんな経験をしたからこそ、いまのように成長できた」
佐藤と阪神の縁を取り持ったのが矢野だ。'20年秋のドラフトで4球団競合の末、自らくじを引いて佐藤との交渉権を獲得。矢野にとって特別な教え子のひとりである。
「面白い選手には間違いないね。いろんな意味で、あんまりいないタイプ」
矢野がそう評する佐藤のキャラクターは、たとえば優勝した夜にみせた姿からも窺うことができる。佐藤は共同会見でも、深夜のテレビ局インタビューでも、ひとりだけ黒い帽子を「後ろかぶり」のまま、質問に答えつづけたのである。

