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「今はドングリの背比べだけど」若き名将・徳本一善監督は予選会最高20位の芝浦工大で箱根駅伝を目指す「青学大レギュラー級を2、3人作れれば」 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byYuki Suenaga

posted2025/09/18 11:08

「今はドングリの背比べだけど」若き名将・徳本一善監督は予選会最高20位の芝浦工大で箱根駅伝を目指す「青学大レギュラー級を2、3人作れれば」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

箱根駅伝予選会は昨季23位、過去最高でも20位の芝浦工大。徳本新監督の指導で今季はどこまで順位を上げられるだろうか

基礎の徹底からのスタート

 徳本監督が、個別ではなく、基礎構築のトレーニングにシフトしたのは、芝浦工大の選手にとっては、まずそこを徹底してやらなければいけない状況だったからだ。スプリントドリルやフィジカルトレーニングなど今までやったことがなく、走れば筋力がつくと思っている選手ばかりだった。練習もままならず、ポイント練習をしようにもできない。

 1km15本というメニューも、明日も練習ができる状態で終わる強度でやめること、という個別の条件を出してのトレーニングにせざるをえず、5本で終えるような選手もいた。3カ月間は、足並みを揃えるために、ペースは全員同じ設定、本数を個別に設定し、選手がリスクを負わないレベルでの、継続できる練習を徹底した。

「力のない学生たちは、そのやり方でハマったんですよ。一方で、基礎構築のメニューを続けたことで何が起きたかというと、今まで必要なのにしていなかった練習をしているから、みんな同じぐらいの力になっているということです。普通ならチームに個の力の差によるヒエラルキーが生まれるんですけど、うちは三角形じゃなく、中間層でギュッと締まったチーム構成になっているんです」

今はドングリの背比べだが……

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 駅伝で強いチーム編成は、トップにエースがいて、それを数名の主力組が支え、さらに中間層がしのぎを削る三角形が望ましいとされている。青学大や駒澤大、早稲田大などは、その三角形が上は鋭く、横は大きく、選手層が厚い。「今はドングリの背比べ」と徳本監督は言うが、チームには注目すべき選手がいる。

「うちは、2年生がいいんですよ。宮本大心、中川成弥、小林圭吾、水戸瑛太、酒井忠久の5人ですね。網走では小林と宮本が出て、そこそこ走ってくれた。宮本はPBを出したけど、小林は終わった後に話をして、『メンタルだな』と。食いしばれるところで食いしばれない。ただ、そこに気が付いているし、練習では出せるから、チャレンジしていこうと。まぁ2年生、1年生は素直だし、腹を括っている感じがするので、今後が楽しみです」

【次ページ】 青学のレギュラー級を2、3人作らないと

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