「あと2回しかチャンス、ないねんぞ」高校生クイズのために転校した天才双子を襲った“まさかのルール変更”「知識問題ゼロ」「対策のしようがない」 

双子が見せた「全国への執念」

　一方で、振り返ってみると、その形式は実はすべてがマイナスに作用したわけではなかった。

　他チームは例年通りの傾向を想定し、いわゆる知識問題への対策にも時間を割いていた可能性があった。

　だが、東兄弟は競技クイズの強者である。そのため、そこへの対策はそもそも必要ない。どこまで意味があったかはともかくとして、上述のようなパズル問題などのひらめき系問題対策に特化できるという心の余裕があった。また、そもそもわずか半年の受験勉強で名門ラ・サールに合格する双子である。2人の“地頭”そのものが相当良かったことも、間違いない。

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　結果的に2人を擁した桜丘は三重県内のチームで1位となり、全国行きを決めた。

「めちゃくちゃ嬉しかった」と予選の通過を振り返るのは、問だ。

「それでも1位になれたのは本当に奇跡だと思います。狙って勝てるコンセプトではなかったのは間違いないので。勝てた理由は……もう、全国への執念としか言いようがないですね（笑）」

じつはふたりの運命を変えていた“桜丘への転校”

　現実的な話で言えば、最も大きかったのは桜丘が三重県の高校ということだろう。

　甲子園の例を挙げるまでもなく、ベースが1都道府県1代表の制度の場合、全国に行くことだけを考えればシンプルに学校数が少ない都道府県の方が、基本的には全国大会出場のハードルは低い。いわゆるクイズの強豪校が多い関東や関西、ラ・サールがいる鹿児島と比べると、三重という県からの出場難易度は、明らかに下がることになる。

「僕らは純粋に上から数えたら全国で47番以内のチームではなかったんじゃないかなと思います。関東なら多分、全国で10位以内とかに入らないと全国に辿り着けない。でも、三重という枠内だったからこそ1位で抜けることができた」（問）

　つまり、結果的に桜丘へと転校した意味は非常に大きかったのだ。

　そして全国行きを決めたことで、2人の中では一気に全国制覇への想いが高まっていった。

「予選だと何千とある出場チームから50チーム（※各都道府県代表のほか、3校に特別推薦枠がある）にまで絞り込まれるわけじゃないですか。そう考えれば、全国大会で50校から最後の1校になって優勝するのとそう倍率は変わらない。じゃあ『ここで勝たないと』という気持ちになっていました」（言）

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