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「次は完全試合です」甲子園で820球“ビッグマウス”川口知哉が母校・龍谷大平安の監督に…指導者に目覚めたワケ「向いてんのかな、野球教えんのおもしろい」 

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byAsahi Shimbun

posted2025/09/04 17:00

「次は完全試合です」甲子園で820球“ビッグマウス”川口知哉が母校・龍谷大平安の監督に…指導者に目覚めたワケ「向いてんのかな、野球教えんのおもしろい」<Number Web> photograph by Asahi Shimbun

1997年夏の甲子園で820球を投げ抜いて準優勝した平安のエース・川口知哉。現在は母校の監督に

 ただ、最後の3年間は少しだけ光明も差した。「セカンドに投げる動きはスムーズだよ」というコーチの一言をヒントに夜中に壁当てするなど必死にもがき、新しいフォームを構築できた。ようやくトンネルを抜け、一軍登板にはこぎつけた。しかし、そこまでだった。一軍通算9試合で0勝1敗。それが7年間で残した成績だった。

 引退後は実家の外装業を手伝うようになる。元来真面目な性分で職人気質。仕事は性に合っていた。野球は見るのも嫌だった。

「指導者向いてんのかな、野球教えんのおもしろい」

 3年ほど経った頃、後輩から中学生の指導を頼まれた。仕事が空いた時に月2回程度顔を出すだけだったが、その経験が川口を再び野球に目覚めさせる。

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「見ていたら、なんかわかるんです。この子はどうすれば良くなるかというのが」

 アドバイスすると選手が見違えるようになっていく。「なんでそんなんわかんねやろ」と自分でも不思議に思ったが、プロ生活のどん底でたくさんの人から受けたアドバイスが、知らぬ間に川口の中に蓄積されていたのだった。

「それまで考えたこともなかったけど、指導者向いてんのかな、野球教えんのおもろいなと思うようになったんです」

女子プロ野球で学んだ人間心理と方法論

 2010年、新たに設立された女子プロ野球の指導者としてオファーを受けた。

「最初は社会人チームを作るみたいな話が、あれ、女子? プロ? どういうこと? まあ野球に変わりはないか、と」

 何事も受け入れがちで期待には応えようとする。「まあ、真面目なんですよね」という性分が未知の領域にも踏みこませた。

 リーグ休止までの10年間、監督やコーチとして連覇などの実績を残したが、「最初の3年は苦労しました」と苦笑するようにいろいろとカルチャーショックを受けた。

【続きを読む】サブスク「NumberPREMIER」内の「遠回りしたからこそ教えられる」‟ビッグマウス”と呼ばれた川口知哉が母校・龍谷大平安で実践する指導哲学とは?「次は完全試合です」《甲子園スターが監督として帰還》で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。

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