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甲子園の風BACK NUMBER
「ボールを受けたキャッチャーが骨折」甲子園で話題の2年生左腕・末吉良丞「高校生では打てない」「まだ出力をセーブしてる」地元・沖縄で聞いた新証言
text by

松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph byJIJI PRESS
posted2025/08/16 11:06
甲子園で注目を集める沖縄尚学の末吉良丞(2年生)。ここまで13回を投げて19奪三振、無失点と完璧な投球を続けている
「自分でどうにか抑えたい気持ちが強すぎて空回りしてワイルドピッチをすることもありましたが、基本的にとっても責任感も負けん気も強い子で、学業もしっかりやってました。見た目は不器用っぽいんですが意外にも手先が器用で、フォームが多少崩れてもボールをリリースする瞬間の指先で調整する能力を持っています。とにかく身体のキレが良く、柔軟性がありました。あの身体を見ると一瞬怪我しそうな感じがするんですけど、3年間怪我もなく無事に過ごせられたのが一番大きいと思っています」
無事是名馬という格言があるように、身体の強さ、丈夫さは選手にとって何にも代えがたい才能である。末吉は地肩の強さだけでなく、練習にも学業にも真剣に取り組む真面目さ、そして心身のタフさがあった。
「県内であのレベルのピッチャーは見たことがない」
さらに複数の証言を集めた。糸満高校野球部部長の新垣隆夫は、毎年沖縄本島の中学校を回っている関係で中学時代の末吉を知っていた。
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「教え子が三和中学の監督をやっていた関係で『仲西中の末吉が凄いですから見たほうがいいですよ』と言われ、当時中学2年だった末吉を見に行きました。とにかく球が速く、身体が大きかったのが印象的でした。中学3年時に145kmを投げたことで、一気に県内に(名前が)広がっていった感じです。ただ、今よりも身体がポチャポチャしていて、球は速いけどコントロールが悪いから置きにいって打たれるパターンも多かった。高校に行って相当身体を絞ってメンタルも鍛えられた感じですね。県内であのレベルのパワー系のピッチャーは今まで見たことがないです」
さらに別の関係者は「中学生時代、末吉はバッティングも良かったんです。仲西中のグラウンドが結構広いんですが、ライト側にある体育館の屋根まで飛ばしてますから。パワーがありますから、逆方向に打ち出したらバッターとしても凄くなる可能性は十分に秘めてますよ」と証言する。
春のセンバツ前の末吉にインタビューをした地元のスポーツジャーナリスト、仲本兼進にも話を聞いた。「頭の回転が速い子なんだなという印象でした」と仲本は明かす。

