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「今でも納得いかん」桑田真澄はなぜ“甲子園屈指の打者”だったのか? 池田のエース・水野雄仁がPL学園監督に直言した日「伝統の竹バットではなく…」
posted2025/08/22 11:01
甲子園で通算6本のホームランを放ったPL学園の桑田真澄
text by

城島充Mitsuru Jojima
photograph by
AFLO
◆◆◆
初めての甲子園で、桑田は投打にわたって周囲を驚かせることになる。
初戦の所沢商戦で2失点の完投勝利、2回戦の中津工戦では3安打完封、さらに甲子園初ホームランを含む3安打4打点を挙げた。それでも蔦監督(池田高校)が「1年生の4番」だけを警戒したのは、準々決勝の高知商戦で序盤に8-0と大量リードを奪いながら、先発の桑田が乱調で5回に5点を失い、マウンドを降りたからだ。一方、1、2回戦でノーヒットだった清原は4打数3安打を放ち、後の爆発を予感させていた。
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投打の中心が1年生で「未来のチーム」と評されたPL学園は王者の圧力に気後れしたのか、荷物をまとめる3年生部員もいた。そうした空気を察した中村は、ずっと考えていた水野攻略法を伝えた。
「これまでの対戦相手は、水野の速球を右方向へ流そうとしていた。しかし、小細工をしようとすると、バットのヘッドが下がってファウルになってしまう。流すんじゃない。思い切って引っ張るんだ」
あどけない表情を残す15歳はそのアドバイスを忠実に実践し、甲子園に新たな時代を呼び込んだのだ。
対戦したエースの本音「歯車が狂い始めていた」
「あの時、桑田にもスライダーを投げておけばって思うこともありますが、そんなことを言い出したら、甲子園の歴史がみんな変わっちゃいますもんね」
現在は野球解説者として活躍する水野雄仁は、練習試合も含めて初めて浴びたホームランを特別な感慨とともに振り返る。
「選抜までは順調だったけど、5月に腰を痛めて走り込みができなくなってから、歯車が微妙に狂い始めていました。いろんなことが積み重なって、ああいう結果につながったような気がします」
さまざまな綾が折り重なり、必然的にあの瞬間を迎えたのだが、桑田はかつて本誌のインタビューでこう語っている。
